パソコン電源の不調と寒さの関係

寒いと調子が悪いPC電源
寒い日が続いておりますね。香川でも例年よりも雪が降る日が多く、冷え性の私は重ね着と貼るカイロを頼りに生きています。
寒さが厳しくなると心臓や血管への負担が大きくなり、思いもよらない発作や病気を呼ぶことがありますし、現場仕事の方は手元や足元が狂って怪我をしやすくなる時期ですから、どうぞ暖かくしてご自愛ください。

今頃のような気温が低い時期には突然パソコンの電源が入らなくなったりもします。
気温が下がると不調になる部品を以下にご紹介いたしますので、少しご留意いただいて、皆様もパソコンも元気に冬を乗り越えてくださいね。

なぜパソコンは暑さ寒さに弱いのか

以前 夏がくる、パソコンが壊れる? の記事で今回とは逆に気温が高い夏場のパソコンの不具合についてご説明いたしました。
「 機械のくせに小癪な…暑かろうが寒かろうがキリキリ働かんかい!! 」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、パソコンは超精密機器で、丁寧に育てられた暑さ寒さに弱い箱入り娘なのです。
灼熱とか極寒とかの過酷な環境で働くなんて思ってもみないので、いきなりそんな現場で働かされると割とすぐに倒れます。

パソコン動作の最適温度は15℃~25℃程度ですから、人間が快適に感じる気温と同じくらいと考えてください。

今日は冷えるなあ、指先がかじかんで上手く動かないよー
という時、パソコンもあなたと同じように
寒すぎて部品が上手く動かないよー
という状態なのです。

そして箱入り娘のパソコンさんの中でも特に寒さに弱い部品としてHDDと電解コンデンサがあります。

寒さに弱い部品その1 : HDD

パソコンの電源スイッチを押した後にHDDの盤(ディスク、プラッター)が回る音がすると思うのですが、ああして回っている内に起動の準備運動をしています。
「あー寒い…え?起きないとダメ? いやちょっと寒すぎる…。でも回ってる内に他の部品も動き出してあったまってきたし、そろそろ起動データを読み込もうかな…」と、他の季節に比べてのっそりと動き始めるので、起動がいつもより遅いような気がしても、焦らずゆっくり待ってあげてください。

ちょっと寒さにびっくりしたくらいなら時間はかかっても問題なく起動するのですが、回転部分に使われている磁性流体が低温環境で変質してしまうと
上手く回転が保てずにHDDの動作が不安定になります。
「起きようと思ったら寒さでギックリ腰が! Σ(ノ゚□゚)ノ ……εミ(ο_ _)ο ごめん、ちょっと今は起き上がるの無理!」という状態です。

こうなるとブルースクリーン(青い背景に白い文字でエラー内容が書かれた画面)になったり、エラー画面(黒い背景に白い文字でエラー内容が書かれた画面)になったり。
更に症状が重い場合は起動データそのものが読み込めず、ロゴまではちゃんと出たのにその先に進まない、もしくは起動途中で固まってしまった(フリーズ)状態になります。

寒さに弱い部品その2 : 電解コンデンサ

常に電気をいい感じに流してパソコンを起動・動作させている電源ユニット
 (ノートパソコンの場合はバッテリーやACアダプターがこれに当たります)

様々な部品を載せている重要なマザーボード基板

パソコン内部では主に上記の2箇所に電解コンデンサが存在しています。
電解コンデンサは電気を蓄える部品で、状況に応じて蓄えた電気を放出したりして回路内に流れる電気が安定するようにしてくれています。
見た目は乾電池を小型化したような感じですが、乾電池とはまた別物で、乾電池が電力を作り出せるのに対して、コンデンサは受け取って蓄えて渡す、という動作しかできません。

電子の特性上、低温環境では電解コンデンサが蓄えることのできる電気容量(電荷)が減ります。
寒いと人間の動きが鈍くなるのと似たようなものです。アスリートが準備運動をいつもより念入りにして、更にちょっと長めに走りこみをしてようやくいつものパフォーマンスができる!みたいなことですね。
電解コンデンサも寒い中でも頑張っていつもと同じパフォーマンスをするために普段よりも多くの分子運動をすることになります。
それがコンデンサへの負荷となり、上手く電気を貯蓄・供給できずに不安定になったり、ついには寿命がきて膨張、液漏れ、破裂といった故障状態となります。

電源ユニットの不具合

寒さで電解コンデンサが不安定になったり壊れたりすると上手く電気が流れなくなり、電源ユニットの仕事 = パソコンの動力提供ができなくなります。
そうすると電源スイッチを入れてもうんともすんとも反応が無かったり、起動の途中や使っている最中にいきなりバツンと電源が落ちたり。

これは焦りますね。
しかしここで焦りに任せて何度も電源スイッチを押してしまうと、無理に電気を流そうとして更に負荷がかかり、一時的な不良だった部品に完全にとどめを刺すことになるかもしれないので要注意です。
一応、何回か電源スイッチを連打していると、無理に流した電気で温まって普通に起動することもあるのですが、それは何が何でも今すぐにパソコンを起動させなければならない、という切羽詰まった状況(そんな状況あるのかな)の時に使う最終手段です。
ギックリ腰のひとの手を引っ張って無理やりに立たそうとしてはいけません。 

マザーボードの不具合

マザーボード上の部品にはパソコンを動かす為の大切な機能が満載です。
電源制御、液晶表示制御、脳にあたるCPU、USB制御、etc。
そのため、マザーボードが不安定になったり壊れたりすると様々な不具合が発生します。

寒さで電解コンデンサが不安定でマザーボードが上手く動作しなければ、電源ユニットの場合と同じように、全く何の反応も無く起動しない状態になります。
これも無理に立ち上がらそうとしては危険です。よろけた拍子に掴んだ家具が倒れて二次被害、のような感じで他のマザーボード上の部品まで壊れてしまうかもしれません。

症状の改善方法

室温を上げる

何はともあれお部屋を暖かくしてからパソコンの電源を入れてください。
今くらいの気温(0℃~10℃)なら30分~1時間は待っていただきたいところです。

室温が上がるまで待たなくてもドライヤーで温めると良いという方もいらっしゃいますが、冷えたパソコンにいきなり熱風を当てると、内部で結露が発生してショートしたり、マザーボード内の熱に弱い部品が浮いて接触不良を起こしたりといった可能性がありますのであまりオススメはできません。
結露にも気をつけよう の項を合わせてご覧ください。

お部屋の暖房を入れて、ご飯を食べたりお風呂に入ったりしてからパソコンの電源を入れていただくとちょうどくらいの時間ではないでしょうか。

でもお仕事のパソコンならそんな呑気なことも言っていられませんよね。
仕方ないので普通に起動していただくしか無いのですがパソコンを長持ちさせるためにの項目をご覧いただいて、日頃から部品を労ってあげてください。

電源を抜いて再起動

お部屋は充分に暖まっているのにまだちゃんと起動しないよ!というときは電源コードを抜いて(ノートパソコンの場合はバッテリーも外して)からしばらく待ってみてください。
このしばらく、というのもぼんやりしたお話ですが、10分くらいでいいこともあれば、数日で改善されることもあるので何とも言えないのです。全てはパソコンさんのご機嫌しだい

ひとまず10分くらい経ったら試していただくと良いと思います。
再度 電源コードとACアダプターをつなぎ(ノートパソコンの場合はバッテリーは外したまま)普通に電源を入れてみてください。
ここで電源が入れば、一時的に電気の流れが悪くなっただけだった可能性が高いので問題なくお使いいただけるはずです。

修理するとしたらいくらくらい?

部屋を暖めても、電源コードを抜いて何日か置いても症状が改善されない場合。
これはついに買い替えか修理か、ということになります。

修理の場合、HDDの不良(ブルースクリーンエラーやフリーズ)ならHDDを新しいものにするか、HDDをSSDに替えるかのいずれかになります。
弊社の例ですとHDDの交換なら¥15,000~¥20,000前後、SSDに替えるなら¥26,000~¥40,000前後です。
詳しくは弊社サイト⇒HDD・SSD交換のページをご覧ください。

電源ユニットかマザーボードが壊れている場合、実際にパソコンを拝見するまでどちらが壊れているのか、あるいは両方が壊れているのかを判断できないのですが、
弊社の修理料金だと¥10,000~¥30,000程度です。
その部品の仕様や破損の度合いによるので金額に幅があって申し訳ないです。
詳しくはこちら⇒マザーボード修理

結露にも気をつけよう

冷えたパソコンを急に温めたり、逆に暖かいお部屋から寒い屋外に持ち出したりしたとき、パソコンの内部に結露が発生することがあります。

冬場のお部屋や車の中をご想像ください。
密閉された空間の中と外で温度差がある場合、金属の窓枠や窓ガラスに結露がつきますね。
あれと同じで、冬はパソコンの外装や内部部品にも結露が発生しやすいと言えます。

結露が発生した状態で電源を入れるとショートしてしまうこともありますので、パソコンにドライヤーを当てて温めたり、逆に夏場に氷を当てたりして急激に温度を変化させることは避けてください。
外を持ち歩いたパソコンを暖かいお部屋に持ち込んだときも同じように結露が発生することがありますので、気温差の激しい移動をした後は、結露が発生していたとしても
充分に乾くくらいの時間(1時間ほど)を置いてから起動させたほうが安心です。

パソコンを長持ちさせるために

上でご説明した気温に対する注意点以外にも、使用環境や使用方法に気をつけていただければもっと部品寿命が延びるかもしれません。
できそうなところだけでも結構ですので、ご参考いただければ ヾ(・ω・´)ノ

長時間スリープ状態にしない

常にスリープ⇒復帰、1週間に一度くらいシャットダウン、という状況で使っていたパソコンのHDDエラーと電源ユニットの寿命の短さを体感したので、
個人的には2、3時間以上使わないならシャットダウンしていただいた方が良い気がします。
スリープから起き上がってこないので強制終了したら2度と起動しなかった時の悲しさといったらありません…。

USBコネクタに無駄なアクセサリーをつけない

大元の電源に加えてUSBアクセサリにも給電することになるので、複数を取り付けて無理をさせると電源ユニットが過労で倒れます。
詳しくは パソコンから変な音がする、そんな時はマザーボードと電源ユニットの故障の項目をご覧ください。

電源を入れたまま持ち運ばない

電源を入れたまま持ち運ぶと、HDDやDVDドライブ故障の原因になります。
特にHDDは起動中でディスクが回り続けたまま傾けたり、振動を与えたりすると物理的な破損、データ的な破損(データの読込不良や消失)のどちらも発生する可能性があります。

また、使用中に持ち運んでいてうっかり落としてしまった場合には、電源を切った状態で落とした時とは比較にならないほど破損状態が酷くなりやすいです。
電源が入っていなければ、壊れるとしても外装のキズや、悪くて液晶パネル割れやマザーボード上の部品剥がれくらいで済むのですが、電源がONの状態だとHDD、CPU、電源回路といった絶賛稼働中の部品にまでダメージが通ってしまいます。

ここからあそこの机までちょっと運びたいだけなんだけど、という時には、出来るだけ水平を保ってゆっくり運んでください
それ以上の距離を移動する時には必ず電源を切って運んでくださいね。

ホコリや汚れを防ぐ

パソコンは内部のファンによって風を起こして動作熱を排気していますが、ホコリや煙草のヤニで汚れた状態でパソコンを動かすと、ファンがきちんと回らずに排熱が妨げられて内部の温度が100℃近くなることもあります。
高熱が発生すると動作が不安定になったり、部品が焼けてしまったり、回路がショートしたりと、様々な不具合の原因となります。
また、ファンの動作不良から騒音の原因にもなります。特に排熱しづらくホコリが入りやすい布団やカーペットの上では極力ご使用を避けてください。

他にも、ペットを飼っているお家、油を扱う食べ物屋さん、掃除をしにくい場所にデスクトップパソコンの本体を置いている事務所、などなどホコリや汚れが溜まりやすい環境でお使いの場合は、起動していない時にはカバーをかけたり、できるだけ小まめにパソコンの周りを掃除をしたりと気をつけていただくと良いと思います。

いざという時のためのバックアップ

しかしこのように色々と気をつけていただいても、壊れるときには壊れてしまうのが機械です(身も蓋も無い)。
経年劣化で部品が壊れたり、ずーっと前に少しだけこぼしたジュースが乾いた後の糖分から金属腐食が進み時限爆弾のように不意に限界がきたり。
パソコンの故障は唐突にやって来ますから、大切なデータは日々バックアップを取るようにしてくださいね。

個人的には外付けのHDDにバックアップファイルを作ったり、重要なファイルや写真をコピー保存するのがおすすめです。
外付けのHDD(あるいはSSD)は、USBケーブルでPCと繋ぐだけで使えて誰にとっても扱いやすいですし、外付けHDDだけ持ち運んで他のPCに繋げて使用もできます。
ご参考に⇒価格コムの外付け ハードディスク 通販 価格比較

ただし、例外として、Windows PCとMac PCではデータ形式が全く違うために、Windowsで作ったデータはそのままMacでは読めませんし、Macで使っていたHDDをWindowsで読み込むこともできません。
ご参考に⇒Macで使っていた外付けHDDデータをWindowsに移行する方法

   

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