パクリ記事と著作権侵害
サイトやブログを運営していると、ある日 自分の書いたページがほぼ丸々コピーされて無断転載されているのに気づいたりします。なんということでしょう。
誰かの参考になったり、有益な情報として紹介していただいたりするのは勿論とても嬉しいことですから大歓迎なのですが、全くそういった意図ではなく、アフィリエイト(ブログやサイトの広告収入)のためだったり、アクセスアップのためだったりの目的で丸ごと無断コピーしているサイトがあるのです。
そんなパクリ記事を見つけてしまった私のとった対応をご説明したいと思います。
それではまずパクられていることに気づいたその時、何をすべきか。
イラッとしてしまうかもしれませんが、一旦ちょっと落ち着いて、それが本当に悪質なパクリかどうかを確認しましょう。
参考になる内容だと思って自分のサイト内に引用したものの、引用する際のマナーに詳しくないだけだったり、引用元の記載を忘れているだけかもしれません。
それならまずコメントやメールで『 引用元を明記してくださいね 』とお願いすれば万事解決です。
しかしどうもそういった感じではなく、数多のブログから記事を盗用しているアフィリエイトブログや自動で記事を収集するプログラムを使っているような広告目的のサイトで悪質な著作権侵害を行っている、と確信した場合。
まともな問合せ先があるところなら『 削除してくださいよー。じゃないと怒るよ? 』と、とりあえず一言もの申すと良いのですが、問い合わせ先の記載がない、もしくは相手が話の通じなそうな異国のひとである場合もあります。
今回私が見つけたパクリサイトは運営者が中国企業だったので国際電話を掛けるのもイヤだし、念のためにページキャッシュと画像を保存した後は早々にGoogleさんにお願いすることにしました。
元記事とパクリ記事の比較
たとえば今回の件だとこんな感じ。
元の記事は当ブログ内の パソコン液晶画面の故障症状と原因 です。
丸ごとコピーな上に、ところどころを販売している商品への誘導リンクに差し替えています。
それなりの内容を持ったサイトであると検索エンジンにアピールしつつ自社の広告リンクを組み込むために、そういうプログラムを使用して自動であちこちのブログ記事をかき集めてコピーし、あたかも自分が書いた記事であるかのように振舞っている状態です。
ちなみにこのパクリ記事ブログの運営会社は、ソーカンパワー株式会社(LaptopBattery.jp)というパソコン用の液晶パネルやバッテリーなどの部品販売を行っている中国企業です。
日本語サイトもあるので、うっかり安いからとここから部品を購入される方もいらっしゃるかもしれませんが、中国から発送されるので到着まで何日かかるか分からない上に、このように平気であちこちのサイトさんのブログ記事を盗用するような会社がまともな商品をまともに売ってくれるとは思えないのであまりオススメしたくないなと思います。
特にサードパーティ製(本来その製品を製造している会社とは別の会社の製品)の安価なノートパソコン用バッテリーや大容量バッテリーは、品質によっては使用しているだけで電源回路やバックライトを劣化させてしまいますので、もし購入してしまった後は気をつけて正規品と比べて形状が異なっていないか、充電が不安定になっていないか確認するようにしてくださいね。
特にバッテリーと本体の接触部分(下記写真参照;金色の金具が見えている部分)を見て、元々使っていたバッテリーと形状が異なる場合は使用しないようにご注意を。
Googleさんに訴えるとどうなるか
私は記事を投稿したら自動でGoogleさんにお知らせして出来るだけ早くインデックスしてもらうプラグインをWordPressに入れているので
(自動インデックス PuSHPressや、Jetpack by WordPress.comの拡張配信機能がそれに当たります)
同一の内容だったとしても投稿日がパクリ記事よりも先で、しかもその証人がGoogleさん、という状況なので「 私がオリジナルです! あっちがパクリだよ!」とGoogleさんに堂々と著作権侵害申立てを行うことができます。
Googleさんに対して DMCA(デジタルミレニアム著作権法)に基づいた著作権侵害申立て を行い、相手がパクッた側だと審査の結果認められればインデックスが削除されます。
インデックス(Googleさんが検索用データとして収集・保持している索引のようなもの)を削除されるということはWeb上での存在をGoogleさんに無視されるのとほぼ同じなので、Google検索結果に出てくることが無くなります。
検索結果にインデックスを削除されたページがある場合はこんなメッセージが。
申し立てをする前に確認しておきたいこと
自分が申し立てを行い、相手のページが検索結果で非表示になると、インデックス削除された後に検索結果ページに出てくるメッセージ ↓ の
『 クレームを確認 』をクリックすると 自分の個人名で申し立てした場合は個人名が表示される、あまつさえパクった相手にも通知されて伝わる、というのは嫌な方も多いと思います。
法律にのっとった申し立てなので責任を持ってね!というGoogleさん達の言い分も分かるのですが、相手が性質の悪いひとなら何かしら仕返しされるかもしれません。
(追記)
申し立ての結果、相手の記事がインデックス削除されてから10日ほどで第三者機関のネットページに申し立て内容が表示されるようになりました。
個人名も出るのかと思いきや、会社名までなんですね。
これなら企業ブログを運営している方は申し立てしやすいかも。
法人じゃないから個人名なんだけど、それを晒されるなんて嫌だ!でもパクられっぱなしも嫌!という方はブログ運営者に通報をご検討ください。
こちらの申し立てが認められれば、運営者や運営企業が該当記事やブログそのものを削除してくれます。
でもこれも運営企業によっては相手に申し立て者の情報を伝えたりするし、サーバーが外国のものだと英語で申し立てしないといけなくて中々大変なんですよね。
なんだか加害者のほうが守られてるような気がして微妙な気持ちです。
著作権侵害申立ての方法
Googleさんの著作権侵害の報告ページから必要事項を入力します。
それでは上から詳細をご説明します。
連絡先情報
著作権を持っている本人(自分)の名前を入れます。
Googleさんからのお知らせメールが届くようにメールアドレスも普段から使っているものを入れましょう。
著作権対象物を特定する情報とその著作物の説明
記事や写真がどんな風に盗用されているかを500文字以内で説明します。
Googleさんの(中のひとの)確認がしやすいように、特定の箇所を盗用された場合はこの画像!ココの文章!などを記載しておくと良いと思います。
500文字以内ってかなり短いので(前は文字数制限無かったのになんでだ)かなり要約しないとキツイです。
これ500文字超えたかなーと分からなくなった時は、文字数をかぞえるのも面倒なので『 文字数カウント 』などで検索をかけて出てくる無料Webツールでカウントすると便利。
記載内容の例としてはこんな感じ。
使えそうな部分があったらコピペして使ってください。
文章で検索をかけていて著作権の侵害を発見いたしました。
以下に著作権侵害ブログ(無断転載した文章を繋ぎ合わせている)に使用されている箇所を記載します。
■元記事内の文章
■著作権侵害記事の文章
※1行目『●●●』の部分は
この企業が運営するパソコン部品の販売ページへの誘導リンクに書き換えられています。
■元記事内の文章
■著作権侵害記事の文章
記事内容からも、記事掲載年月日からも当方が正当な著作権所有者であるとお分かりいただけるかと思います。
著作権侵害ブログを運営しているのはパソコン部品を販売しているソーカンパワーという中国企業です。
複数のドメイン、レンタルブログにおいて弊社ブログの記事を無断転載した上で
一部改ざんして販売製品へのリンクを貼っています。
記事は全てあちこちのブログから無断転載したもので、オリジナル記事はひとつもありません。
当該著作物が許可を受けて掲載されている場所
パクられた記事や画像がある、自分のサイトやブログのURLを記述。
権利を侵害している著作物の場所
パクリ記事のURLを記述。
ご注意
ここで自サイトURLとパクリ記事URLを間違えて逆にしてしまうと自分の記事のほうがパクリだと申告したことになってしまうので、くれぐれも慎重に記載してくださいね。
宣誓供述書
3つの確認事項を良く読んでからチェックを入れます。
小難しく書いてありますが、要するに
「 嘘はつくな。第三者機関にこの申し立ての内容を送ることに同意しろ 」
ということです。
署名とロボット確認
当日の日付(何月/何日/何年)と自分の署名を入れてください。
署名は連絡先として記載した名前と同じでないと受付けてくれません。
最後にロボットじゃないよーとチェックを入れて【 送信 】をクリックすれば完了です。
キャプチャ確認
文字数オーバーや項目不足などで再入力を求められた場合、何度か繰り返していると、Googleさんから 「 お前ほんとに人間か? 」 という疑いをかけられて、人間ならこの画像から指定されたものを選んでクリックしろよ、というテストを出されます。
例えばこの画像だと 「 街区表示板(道路標識)が写ってる部分を選べ 」ということで、左上の6個のタイルをクリックして【 確認 】を押せば合格できます。
複数の記事について申告する場合
パクられた記事が一つではない時は、それぞれのURLごとに申し立てが必要です。
一度にまとめて申告したい場合は、申し立てページの途中にある新しいグループを追加 (最大 10 グループ)をクリックすると追加の記載が可能です。
新しく申告したい時には著作権侵害の報告ページを再度開くか、
著作権侵害による削除の確認ページの 新しい通知を作成する からも申告が可能です。
申し立ての結果を確認
問題のページがインデックス削除されたらGoogleさんからお知らせメールが来るのですが、その前にも著作権侵害による削除のページから経過を確認できます。
URLの合計数——-申し立てしたパクリサイトのURL合計数
承認されたURL—–著作権侵害していると認められてインデックス削除されたURL数
拒否されたURL—–著作権侵害だとは認められず、申請が却下されたURL数
保留中のURL——-現在確認中のURL数
ちなみに上の画像は申し立てを行った翌日の状態です。
早々に4件が著作権侵害と認められ、残りの6件が保留中ですね。
残っている6件は中国企業の独自ドメインで運営されているのでそれなりの年数も経っていて、しかも通販サイトとして今も普通に運営されているので中々パクリサイトだとは認められないのかもしれません。
著作権侵害の申し立ても日々凄い件数送られてくるので忙しいでしょうし(年間で3億件超の申し立てがあるとか)結果が出るまでのんびり待つしかないですね。
申し立ての結果:後日談
申し立ての結果、翌日には4件のURLについて著作権侵害が認められ、インデックス削除されましたが、3日後くらいに残りの6件については申請が却下されてしまいました。
却下の理由は『情報が不足しています』。
見事なコピー&ペーストだったので、細かく言うまでもないと思っていたのですが、コピーされた部分を丸々記載するくらいしないとダメだったのかもしれません。
しかもこの結果をGoogleさんがメールで送ってきてくれるはずなのに待てど暮らせど来ない。
なので追加情報をどうやって送ったら良いのかも分からない…。困りました。
申し立ての結果:更に後日談
申し立ての内容をもっと細かくして再度申請したのですが、また却下されてしまいました。
基本的に却下の理由は『情報が不足しています』。
更にその内の1件については、一度は認められたものが翌日には却下されており、理由は『復旧しました』。
…なんで復旧しちゃったの?とまた頭を抱える羽目に。
もしかして相手から不服申し立てでもあったんでしょうか。
そして相変わらずGoogleさんからのメールが来ない。ので追加情報が送れない。
また申請しても無駄な気がするし、Googleさんからのメールも来ないし、ということで、一旦個別に対応してみようと思い、相手が運営しているブログの半分以上はレンタルブログだったのでブログ運営企業に通報申し立てを行ってみることにしました。
サイトをパクられた一例
過去にはサイトの写真や文章を同業者さんにパクられたこともありました。
元のページは弊社のバックライト交換・液晶修理のページです。
これも下手をすればGoogleさん達にこちらがパクリだと思われてしまうかもしれないので、出来るだけ急いで修正してもらわないといけません。
しかしこの企業さんは自分のところで出来ない修理を弊社に頼んでくれていて(なんで自社で出来ない修理を堂々とサイトに記載しているのか今でも分かりません)一応お客様ということで、最初はやんわり『 削除してくださいねー 』とお願いしていた私も、そのままのらりくらりと言い訳をされ放置され2年が経つ頃にキレました。
そしてしかるべき所に相談した上で改めて『 法的手段に訴えますよ 』と言うと、2時間後くらいに慌てて写真を修正した上で「え?最初からこのページでしたよ?盗用なんてしていないんだから、どうぞ訴えれるものなら訴えてください」と半笑いでのたまったという…嫌な思い出です。
ちなみに『 最初からこのページでしたよ(笑)これでダメだというなら、こっちがどうしたら気が済むんですか? 』と逆ギレされたページの現在の状態がこちら。
・・・なんかもう腹が立つを通り越してちょっと面白くなってきます。
慌てて画像を差し替えた後『 現在、特に御社が仰る「盗用」などの事実は確認できません。※文言については一般的な語句しか使用しておりません。 』(送られてきたメールより) と故障状況、修理内容、メーカーとの差などの文章は著作権法違反にはならないと高を括って修正するつもりが全く無いことが伺えます。
仕方ないのでこちらが文章やページ構成をちょこちょこ変えました。
相変わらずムカつくことに変わりはないのですが、この企業さんはネット上で他社の誹謗中傷など色々と問題を起こし何件かは訴訟沙汰になっていると別の同業者さんが教えてくれたので、そんな恐ろしい企業にはもう関わるまいということで無視しています。
それにしてもこんな会社だと知らずに依頼するお客様がいらっしゃることが悲しいです。
この企業さんは別の社名でWebサイトの作成も行っているのですが、ひとのサイトをパクるような企業にホームページを作ってもらうなんて私なら嫌です。
機器の修理についても、ご依頼PCをそのまま他社に丸投げしただけでかなりの手数料を修理料金に上乗せしている様子。
「 メーカーなら10万円近くかかる修理が3万円くらいですんだ 」とお客様は納得しているのでしょうが、それは元々2万円でうちが修理したものにその会社が1万円以上を乗せているんですよ、とお伝えしたい。
しかもページ盗用の件で揉めてからも、間に別の無関係な業者さんを通して、バレないようにまだうちに修理依頼をしてきている姑息さが何とも言えません。
私どもが全く気づいていないと思っているのでしょうが、面の皮が厚いというかなんというか。
このように、サイト運営をしていると、訴えるまでいかなくてもパクリサイトと戦わざるを得ない時が来るかもしれません。
サイトの盗用などを発見したら、後々のためにもとりあえずページのキャッシュを残し、画像もスクリーンショットで取っておきましょう。
⇒画面のスクリーンショットを撮影するには
ページのキャッシュを保存する
Webページのキャッシュを取る=現在の状態をそのまま保存したい時、Webサイトでそういったサービスを扱っているサイトがいくつかありますが
私はいつもウェブ魚拓を使っています。
枠内に魚拓(キャッシュ)を取りたいページのURLを入れて『 規約に同意して取得 』をクリックします。
キャッシュ保存されたページが表示されるので、URLをコピーしてメモ帳などに貼り付けて保存しておきましょう。
キャッシュ保存されたページはタブに(cache)と表示されます。
もしURLが分からなくなってしまっても、元になったページのURLを検索すればキャッシュを探すことも可能です。
一人で悩むことはありません
サイト丸ごとをパクるような無断転載だったり、相手が嘘の申し立てをして自分がパクリだといわれた時など、相手が余りにも悪質でどう対応するべきか迷った時は、最寄の警察署のサイバー犯罪対策課や弁護士さん・司法書士さんに相談するのもおすすめです。
各都道府県ごとのサイバー犯罪相談窓口一覧から最寄の警察署の相談窓口を確認することができます。
また、法律的なことなら法テラスにまず無料相談したり、法テラスからお近くの弁護士さんを紹介してもらったりもできます。
過去に私が相談した香川県警のサイバー犯罪対策課のひとや司法書士のひとはとても親切で、著作権法の詳細を説明してくれたり、裁判を起こす際のことなども詳しく教えてくれて助かりました。
サイバー犯罪対策課では、ウイルス被害、詐欺メール、ネット上の名誉毀損などについても相談に乗ってくれるようなので、お困りのことがあったら相談してみてくださいね。
サイト運営は楽しいこともいっぱいですが、このように困ったことが起きたりもします。
でも大体の困ったことは既に先人達が通った道ですから、ネットで検索すれば同じ状況のお仲間さんが居たり対応方法を詳しく解説してくれてるサイトさんがあります。
一人でイラッとしたり不安になったりしてもストレスが溜まるだけなので、上記の警察のひとに相談したり、対策を検索したりして、ささっとストレスの元を断ちましょう。