ネットで誰でも楽しめる図書館 『青空文庫』

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 目次

青空文庫とは
コンプリート・シャーロック・ホームズについて
青空文庫の使い方
青空文庫用のツール
えあ草紙
文豪メッセンジャー
青空文庫が抱える問題と著作権保護期間
私のおすすめ作品

青空文庫とは

青空文庫とは、ネット環境さえあれば無料で利用できるインターネット電子図書館で、
パブリック・ドメインになった作品、つまり経年により著作権が消滅した作品や
著者さんやそのご遺族により青空文庫における無償閲覧が許可された作品を
全国のボランティアの方々が手入力して、テキスト形式もしくはHTML形式で読めるように
ネット上で公開してくださっているサイトです。
青空文庫の理念について詳しくは 『 青空文庫の提案 』 をご覧ください。

「あーこれ学校の授業でやったなあ」、「面白かったな~本買おうかな」などと考えながら
読み進めている内に気がつくと結構な時間が経っていたりします。
ゴールデンウィーク中にふとヒマが出来たらパソコンで読んでいただくも良し、
ちょっとした移動時間や待ち時間に携帯やスマホで読んでいただくも良し。

私は中原中也や泉鏡花が好きですが、三国志などの長編もおすすめです。
ひたすら読んでは栞を挟み、翌日栞のところから再度読み始め、また栞を挟んで閉じる、という
なかなか読み終わらず長く楽しめるところが長編は良いですよね。
最近読んだものだと『星の王子様』の新訳である『あのときの王子くん』も良かったです。

コンプリート・シャーロック・ホームズについて

青空文庫の他にもパブリック・ドメイン作品をファイル化して公開してくれているサイトさんがあります。
例えばこちらの コンプリート・シャーロック・ホームズ というサイト。
ホームズシリーズの原作(英語版)の著作権は切れているのですが、
日本で翻訳版として出版されたものはまだ著作権年数が残っている状態です。
そこでこのサイトの運営者である Toko&Ton さんは、全60作品のホームズシリーズを
自力で翻訳してファイル化・サイト公開してくださったのです。
運営者さんのホームズ愛に感動すると共に、広く公開してくださったことに感謝です。

挿絵や注釈もついていて大変読みやすいです。
ホームズ01
ホームズ02

青空文庫の使い方

索引から読みたい作品を探す

青空文庫トップページに索引がありますので、読みたい作品名や作家名を探してみてください。
分野別で興味のある分野から探すこともできます。
青空文庫トップページ

ファイル形式を選ぶ

それぞれの作品はお好みのファイル形式で読むことができます。

テキストファイル形式で読む
PCの中に保存しておいて読みたい方のためのテキストファイル形式です。
ダウンロード保存してPCの中に入れておけばネットに繋がっていない時でも読めるので便利ですね。
ただ、段落や表記についての注釈なども多く添えられているので少し見づらいかもしれません。
純粋に文章を読みたいだけの方はXHTMLファイル形式でご覧いただくか、
えあ草紙などの専用ツールを使うことをおすすめします。
テキストファイル形式

XHTMLファイル形式で読む
ブラウザ上で文章を展開して読むことができます。
XHTMLファイル形式

作品によっては上記以外のファイル形式も準備されていることがあります。
詳しくは青空文庫の 『 電子テキストの読み方 』 をご覧ください。

青空文庫用のツール

青空文庫は勿論そのままブラウザ上で開いて読んだり、ダウンロード保存して読んでも良いのですが、
より快適に作品を読むための便利なツールが提供されているので合わせてご紹介します。

えあ草紙

青空文庫の作品の他に、ネット上に公開されているオンライン小説なども
お好みによって縦組み・横組みで読みやすくしてくれるツールです。
詳しくは作者・Kazuhiko Sato様の『えあ草紙工房』のページをご覧ください。
電子書籍リーダー『AIR草紙』をインストールしてデスクトップ上で読むもよし、
ブラウザ上の『えあ草紙』で直接読むもよし。

ブラウザとしてInternet Explorerのバージョン8以下をお使いの場合は使えない、
もしくは上手く動作しないことがあるようですので、IE9以上をインストールするか、
IE以外のブラウザをご検討ください。
ご参考に;インターネット閲覧をもっと便利に快適に【 1 】ブラウザの違い編

私はいつもこのえあ草紙にお世話になっています。
うっすら下のページの文章が透けていたり、ページ切り替えの部分に陰影が付けてあったりと
細かいこだわりのおかげで実際の本を読んでいるような気分になれて楽しいです。

ブラウザツール・えあ草紙の使い方

著者・翻訳者別の他に、分野別や企画コーナーなどからも作品を探すことができます。
分野別
基本のカラムは2つになっていますが、右上の設定アイコンから増やしたり減らしたりできます。
カラム数
ウインドウの大きさを変えると自動で段落を組み直してくれます。
マウスだけでなくキーボードの矢印キーでもページがめくれて便利。
えあ草紙
しおりを挟むと、ブックマークicon-bookmarkに赤く色が付きます。
しおりを挟む
【 読みかけの作品 】をクリックすると、しおりを挟んだ作品の一覧から再度読み始めることができます。
しおりから再開

電子書籍リーダー・AIR草紙の使い方

青空文庫を読む
AIR草紙をインストール後にアイコンをクリックして起動させてください。
AIR草紙アイコン
ウインドウ上部の辺りにマウスカーソルを合わせるとメニューが表示されます。
【 青空文庫 】をクリックすると作品検索ができます。
読みたい作品を選んだら【 開く 】をクリック。
AIR草紙
ブラウザ上のえあ草紙と同じく、マウスクリックもしくは矢印キーでページ移動できます。
AIR草紙02
挿絵をクリックすると拡大表示が可能。
読んでいる途中でAIR草紙を閉じても、またAIR草紙を起動して同じ作品を開けば
読んでいたページを開いてくれます。

テキストファイルをAIR草紙で開く

自分が作ったメモ帳ファイルなどのテキストファイルをAIR草紙で開くこともできます。
AIR草紙からファイルを選ぶ
上部メニューの【 テキスト 】をクリックすると、自分のローカルフォルダの中から
開きたいテキストファイルを選ぶことができます。
AIR草紙テキストファイルを開く

ファイルからAIR草紙で開く
AIR草紙で開く01

こちらはこの記事をコピーしてメモ帳に保存したものをAIR草紙で開いてみました。
AIR草紙で開く02
いつも横書きの状態で自分の記事を見ているので、縦書きになると不思議な感じがしますね。
自分が書いた小説やレポートが縦書きだとどうなるか確認したい方にも便利だと思います。

有料版AIR草紙

AIR草紙には有料版(300円)もあります。
有料版では、どの機器でAIR草紙を開いても共有できるしおりや、
本文にマーカーを引いたり、メモ書きをしたりといった機能を使用することが出来ます。
複数PC、スマホ、タブレット、それぞれを普段使い分けている方や
考察をしながら読書したい方にはとても便利な機能ですね。

文豪メッセンジャー

文豪メッセンジャーは、青空文庫の作品をスマホやPC上でLINE風に表示するツールです。
文豪メッセンジャー02
左右の吹き出しと登場人物の台詞がズレてしまう
(同じ人の台詞なのに、分割されて左右に表示されたり)
といったこともありますし、吹き出しを挟むのでスクロールも長くなりますから
長編をしっかり読みたい方にはあまり向かないかもしれません。
普段活字は読まないんだけどLINE風ならちょっと読んでみても良いかな、という方や、
たまには気分を変えて文学を読んでみたいという方におすすめです。

また、文章や会話の合間にはLINE上のスタンプのように扉絵や関連イラストが表示されます。
これは作品名をGoogle検索して上位100件の画像をランダム表示してるそうです。

文豪メッセンジャーにアクセスすると、デフォルトで太宰治の『走れメロス』の表示が始まります。
違う作品を読みたい場合は、左上の本マークをクリックして青空文庫から作品を探しましょう。
文豪メッセンジャー01

詳しい使用方法については、画面右上のメニューをクリックするか、文豪メッセンジャーの説明からご覧ください。

青空文庫が抱える問題と著作権保護期間

・ボランティアの方々が入力、校正を行っているのでどうしても誤字脱字や送り仮名の間違いなどがある
・旧仮名遣い、旧漢字、記号などをWeb上の文字コードで再現しきれない時がある
・入力者は増えているが校正者が増えず、校正待ちのまま公開されていない作品が多数ある
・青空文庫のデータを盗用して電子書籍を作成する業者がいるため出版業者の利益を損うという批判
・書籍を購入する機会を奪うため書籍販売業者の利益を損なうという批判
・日本に対するアメリカからの著作権保護期間延長要請があったことにより
保護期間を現在の50年から70年に延長しようという意見が生まれ、これが認められた場合には
著作権保護期間の終了に合わせて公開準備を進めていたものが無駄になる

青空文庫では上記のような様々な問題を抱えています。
こういった問題に直面しながらも、発起人の方々、発起人の遺志を継いだ方々、
ボランティアの皆さんは頑張って下さっています。
個人的にはそれだけの労力を割いて少しでも文学を広く読んでほしい、
知的財産を共有したいという熱意は素晴らしいものだと思います。

青空文庫のデータを盗用する業者については悪いのはそういった業者の方で
青空文庫のせいではないですしね。
それに私は青空文庫で読んで気に入ったものは書籍として購入しているので、
書店などの販売業者さんにとっては宣伝代わりになって良いと思うのですがどうなんでしょう。
青空文庫に文句を言う暇があるのであれば、書店に足を運ぶひとを増やすために
ネットに負けない紙の本の魅力を伝えたり、店舗への集客方法を模索するほうが建設的じゃないでしょうか。
こうしてご紹介しているように、青空文庫を始めとしたネット上のブックファイルに
お世話になることも多々ありますが、私は今でも電子書籍より実際の紙の本の方が好きです。
(PCが好きでPCに関わる仕事に就いている者としてちょっとどうかとも思うのですが)
紙の感触、感覚的に慣れたページを開ける便利さ、電子機器には無い頑丈さ、
その全てが好ましく、本棚がいくらあっても足りないくらい本を貯め込んでいます。
だから本屋さんは本屋さんにしかない魅力を生かしてもっと頑張って欲しいと常々思っています。
Amazonさんに負けないで・・・!(。・ × ・)

また、著作権の保護期間については1990年代からアメリカは日本に延長を要請していました。
法律を変えろと他国に要請するなど対等な関係であれば有り得ないと思うので、
「 そういうのを内政干渉って言うんじゃないの 」 と何だかイラッとします。
しかも今年(2015年)2月、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の交渉の中で
日本を含む各国が、アメリカに合わせて映画、音楽、小説などの著作権を保護する期間を
公開や作者の死後から原則70年とする方向で調整を進めることになったようです。
TPPの交渉の席についた時点でアメリカに主導権を握られ、
利益を得る業種と不利益を被る業種がはっきり分かれるとは思っていましたが
まさか著作権保護期間までアメリカに合わせる羽目になるとは。
ベルヌ条約により 『 一度著作権が失効したものは再度著作権をもつことはない 』 とされており、
たとえTPPで著作権保護期間についての改定があったとしてもこの条文は生かされるようなので、
既に著作権の期限が切れたものについては今まで通りだと思うのですが・・・
著作権を守ること、知的財産を活かすこと、そのどちらも大切なことですから、
今後、著作権にまつわる法律がどうなっていくのかが気になりますね。
青空文庫の運営ボランティアの方々は今も著作権保護期間延長に関する問題提起の運動を続けていらっしゃいます。
・青空文庫からのお知らせ『そらもよう』「TPP著作権条項に関する緊急声明」について
・aozorablog TPP問題について
また、著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラムでも
賛成派、慎重派それぞれの意見などが分かりやすく提示されています。
興味を持たれた方は是非ご一読ください。

私のおすすめ作品

難しいお話で終わるのもアレなので、私の個人的オススメ作品と合わせて
テキスト形式あるいはHTML形式で作品を公開しているサイトさんなどをご紹介させていただきます。
何から読もうか迷われた時のご参考になれば。

高野聖

泉鏡花の代表作のひとつですね。
怪奇幻想小説と呼ばれるジャンルで、謎の妖艶な美女とそれに惑わされる旅僧のお話・・・というと
なんだか味気ない説明になってしまいますが、文字であるにも関わらず台詞回しがまるで謡うように美しく、
日本語ってすごいものだなと思わされます。
icon-book えあ草紙で読む⇒高野聖

山羊の歌

山羊の歌は1934年(昭和9年)に刊行された中原中也の詩集です。
中也は30歳で夭折したにも関わらず発表作品は350篇以上あり、
弟の病死、長谷川泰子と小林秀雄との三角関係、長男の死、
様々な悲しみと苦悩から生み出された繊細な作風でファンも多い詩人です。
『 汚れっちまった悲しみに 』、『 寒い夜の自画像 』、『 帰郷 』など、どこか物寂しい心情を表した詩が多く、
『 サーカス 』 で詠われた、ブランコが揺れる様を表した
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん という擬態語も有名ですね ⁽⁽◝( ˙ ꒳ ˙ )◜⁾⁾
私は 『 憔悴 』 が特に好きです。
icon-book えあ草紙で読む⇒山羊の歌
『 山羊の歌 』から後の発表作品をまとめた詩集が 『 在りし日の歌 』 です。
icon-book えあ草紙で読む⇒在りし日の歌

お猫さん

中原中也の『 山羊の歌 』が刊行されたのと同じ年、1934年の子供之友(婦人之友社)に連載されていた
村山籌子(連載時は古川アヤ名義)著の児童文学です。
無機物や動物を擬人化した柔らかく明るい文体の童話が多く、
特に私は猫好きなのでこのお猫さんシリーズが好きです。
ちょうどこの頃は満州国建国、国連脱退、東北地方大凶作、室戸台風などなど
日本は国内外ともに大変な状況でした。
この時代の児童文学には、そんな世相であっても子供には明るく健やかに育って欲しいという
願いが強く込められているように思います。
icon-book えあ草紙で読む⇒お猫さん

恋愛論

坂口安吾の作品の中でも割合短く軽いタッチの随筆です。
女性向け雑誌の特集みたいなタイトルですがアレよりは役に立つことが書いてあるはず。
一番最初と一番最後の段落が特に可愛い男のひとだなと思います。
icon-book えあ草紙で読む⇒恋愛論

悪魔の辞典

約100年前にアンブローズ・ビアスが著した、皮肉とブラックユーモアを詰め込んだ辞書形式の作品で
エゴイスティック・ロマンティシスト』で公開されています。
別に悪魔の呼び出し方とかが書いてある訳ではありません。
芥川龍之介の箴言集『侏儒の言葉』に影響を与えたと言われています。
一見するとふざけて毒を吐いているように見えるかもしれませんが、よくよく読むと
ビアスは世界を観察することが好きで、自分が好きな世界のそこかしこに差別や格差や争いがあることが
許せなかったんじゃないかなと思えてきます。
運営者の枯葉様が翻訳してくださった日本語版でも充分に読み応えがあるのですが、
英語での言い回しがこれまた秀逸だと聞くので自分が英語を正しく理解できないことが悔やまれます。

The Baker Street Bakery

大久保ゆう様が運営する、ご自身の翻訳作品を紹介・公開してくださっているサイトです。
My Translation Boxのコーナーでは児童文学から古典からラヴクラフトまで幅広い作品が公開されています。
上でご紹介した『あのときの王子くん』の翻訳者さんでもあります。
子供部屋のアリス(原題;THE NURSERY “ALICE”)の新訳『えほんのアリス』と
地下の国のアリス(原題;ALICE’S ADVENTURES UNDER GROUND)の新訳『アリスの地底めぐり』もおすすめ。

名詩の林(現在閉鎖?)

(※2015/12/29時点でサイトが公開されていないようです。
  また再開されることを願ってリンクはこのまま置いておきます)
こちらは主にパブリック・ドメインの詩作品を公開してくださっているサイトです。
五十音索引の他に詩人の出身県別に並べてくださっているので、
地元の詩人から読んでみるのもおすすめです。
運営者様が一言のコーナーでおっしゃっているように、時代が変われば常識も言い回しも変わるものです。
しかし故郷を同じくするひとなら、同じ山や川や町並みを思い浮かべることができるかもしれません。
詩に詠われた雰囲気も掴みやすいのではないでしょうか。

日本ペンクラブ:電子文藝館

日本ペンクラブの別館のようなサイト。
まだ著作権が失効していない作品からも著作者さんに許可をいただいて公開してくださっています。

プロジェクト杉田玄白

山形浩生様が運営するサイトで、山形様はもちろん、趣旨に賛同した翻訳者の皆さんが
パブリック・ドメインの海外作品を翻訳・公開してくださっています。
チューリングの著作『計算する機械と知性』を始めとして、コンピュータ関係のものも
多く翻訳してくださっているのが嬉しい。

西洋魔術博物館

お好きな方にはたまらない、オカルト・魔術本の翻訳や図案の紹介サイトです。
中二心がくすぐられますね。
タロット研究のコーナーも充実していて読み応えがあります。

 良かったら押してみてください♥

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