インターネット・リテラシーを大切に

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インターネットを使うにあたって最低限必要とされる能力、ネットを活用する能力としてインターネット・リテラシーという言葉があります。
同じような使われ方をする言葉として情報リテラシーITリテラシーなども最近はよく聞きますね。
既にネットを使いこなしている皆さんからすれば「今更そんなこと言われるまでもないぜ!」と思われるかもしれませんが、今一度確認のためにもご覧いただければ幸いです。

特に夏休みでテンションが上がっている学生さん。
ヒャッハー!という気分なのは分かりますが、犯罪はいけません。
ましてやネットを使って全世界に向けて犯罪の自慢をするなんて正気の沙汰ではありません。
一時の勢いでやらかすと、後々、それこそ大人になってからも大変なことになります。
夏休みのお時間をちょっと割いていただいて、長いですが最後まで読んでいただけたら嬉しいです。

インターネット・リテラシーとは

現実のご近所付き合いや友人付き合いと同じく、ネット上でのお付き合いも思いやりと礼儀が大切です。
特にネット上のやり取りでは顔の表情や、口調のニュアンスが伝わらないために、ちょっとした言葉の行き違いや軽い気持ちで放った一言がとんでもない事態を招くことがあります。
最近問題のLINE上でのイジメや、犯罪行為の自慢、政治家の問題発言などもありますし、ネット上の匿名同士の喧嘩が最終的には住所を特定されて殺人事件になったことも。

ネットの発達した社会で発生する、このような様々な問題を予め防ぐために必要なのがインターネット・リテラシー(略してネットリテラシー)です。
一昔前はネチケット(ネット上のエチケット)と言われていた物が進化してちょっとオシャレな呼び方になりました。

本来リテラシーの意味は “ 情報を適切に理解・解釈・分析・記述し、改めて表現する ” というものです。
ネチケットの意味も含めて、インターネットを正しく扱える分別というような意味でインターネット・リテラシーと称されるようになりました。
ネット上に氾濫する情報を正しく理解し、活用し、ネット上の危険から身を守る術をもつことを指します。

TwitterやLINEのウソ情報

例えばTwitterでは、思ったことや知り得たことをポンポンと気軽に発言できてしまうため、真偽の怪しい情報が流れてきたり、誰かを騙そうとする悪意ある呟きも流れてきたりします。
それを皆がすぐに「○○は○○なんだって!!」と自分のTwitterでも呟いてしまうと、それを繰り返して際限なく情報は広がっていき、それが誰かを貶める嘘の情報だった場合には大変なことになりますし、ネット上に広がったものは簡単には訂正も削除もできません。
これを防ぐためにはまず自分が情報を吟味し、ことの真偽を見極める努力をしなければなりません。

特にこの問題が顕著だったのは2011年の東北地方太平洋沖地震の折です。
原発事故の情報、避難所に必要な物資の情報、探し人の情報など数多の情報が新旧・真偽入り乱れて錯綜し、正確な情報を選り分けることが難しい状態になっていました。
リアルタイムでやり取りが出来る情報ツールとして、Twitterがもっと上手く働いていたら、使う側のこちらがもっとちゃんと活用できていれば、と大変もどかしく、古い情報を拡散している方に削除をお願いしたり、サイト上に正確性の高い情報をまとめたりしていたのですが、私一人では出来ることもたかが知れています。
『 ネットリテラシーが大事ってこういうことだったんだな 』と痛感しました。
万が一にもまた災害があった折には、前回の反省を活かして皆で少しでも誰かの助けになるようにネットを活用できればいいなと思っています。

クリック詐欺・フィッシング詐欺

ネット上の広告やフリーソフトの中には、アドウェアやコンピュータウイルスが紛れていることがあります。
うっかりそれを自分のパソコンに招き入れてしまうと、役に立たないソフトを購入するように誘導されたり、動作に不具合が起きたり、メールにくっついて他のひとにも感染を広げてしまったりと様々な問題が起こります。
 ご参考に:【慌てず騒がず】お使いのパソコンの性能が低下【騙されず】

また「 クリックするだけで被災地へ募金できる 」という手軽な募金の形態があるのですが(こういった募金は、広告スポンサーが1クリックに対していくら、といったような事前の宣言に添って、皆さんが押してくれたクリックぶんをまとめて募金する形になります)それを逆手にとって、クリックしようとする善意あるひとを詐欺サイトへ連れて行く手口も現れました。
これはいずれも、そのリンク先がちゃんとした企業であるかどうかを気をつけて見ていれば騙される前に引き返すことができるものがほとんどです。

銀行などを装ったメールでネットバンキングのIDやパスワードを入力させ、それを悪用してお金を引き出してやろう、という詐欺も存在します。
怪しいリンク先やダウンロードボタンは出来るだけクリックしないようにしましょう。
また、念のためリンクを押す前にリンクのURLを確認して検索をかけて調べていただくとまず引っかかることはありません。
特に、大切なパスワードの取り扱いは慎重になさってください。

個人情報を盗むアプリ

上でご説明したようなネットバンキングのIDやパスワードを盗む詐欺を含めてパソコンやスマホの個人情報は気づかずに盗まれていることがあります。
この項目では特にスマホの無料アプリに潜む危険性についてご説明いたします。

現在ではiPhone用、Android用、どちらも様々なアプリが開発・提供されていますね。
無料で提供されているアプリにも有用なものや面白いものも多く、私も自分のAndroidに結構たくさんの無料アプリを入れています。
そんな中でたまに見かけるのが、インストール時やアップデート(更新)時にアプリの権限として個人情報に関わる項目にアクセス許可を求めるアプリです。
私はそのアプリには不要な項目へのアクセスを求めていると判断したらインストールや更新を止めてアンインストールします。
そこで細かい部分を見ずに「はいはいインストールインストール」と許可を出してしまうと、スマホの中の電話帳から画像から位置情報からがダダ漏れになってしまうので注意が必要です。

そもそも無料アプリがなぜ無料なのかを考えてみましょう。
・純粋にアプリ制作者さんの厚意
・企業の宣伝を兼ねたキャラクターなどのアプリ
・試作品として作られたアプリで、ユーザーの反応を見て次に生かすため
・有料版を買ってもらえるように宣伝を兼ねて機能制限を付けた無料版を提供
・アプリ内でアイテムなどの販売があり、そこで利益を得ることができる
・ユーザーの年齢、居住地、移動範囲などを
 ビッグデータ(収集された膨大なデータ、個人を特定できない状態の情報)として利用・販売
・ユーザーの個人情報を収集して販売
・ユーザーの個人情報を収集して詐欺に利用
ぱっと考え付く限りでこんな感じでしょうか。

後ろの2つは完全にアウトですね。
ビッグデータに関しては別に犯罪では無いのですが気になると言えば気になる…。
Googleさんが集めている検索データや、アマゾンさんが集めている購買者データもビッグデータですが、それとは別にドコモが2013年から携帯を利用して収集を始めた移動範囲や自宅の位置情報データなどは、いくら自分という個人が分からないように加工された状態だとしても勝手に売買されてると思うと気分は良くないですよね。
アプリをインストールする際には、それが自分の個人情報を盗む目的のものでないか、充分に注意して確認するようにしましょう。

また、BaiduやBabylonの危険性についての記事でご説明したように、Baidu社のShimejiという文字入力アプリは以前スマホで入力したテキスト情報をほぼ全て無断で外部に送信していました。
現在はその問題点は修正したと発表されているので、それを信じて入れるかどうかはあなたしだい。

先日 日本年金機構の個人情報流出事件があったように、企業としてのセキュリティの甘さと誰かの不注意が、とんでもない事態を招くこともあります。
パソコンやスマホの中の情報を守れるように、普段からセキュリティには気をつけてくださいね。

プライバシーの保護

Twitter、Facebook、InstagramといったSNSや、日記がわりにしているブログでは、つい自分の行動や写真を気軽に流してしまいがちです。
元々そういうツールなので仕方ないと言えば仕方ないのですが。

しかし悪意ある人間がそこに出ている情報を見れば
「この家の窓のカギが壊れたらしい」 
「このひとはいつも夜の9時頃にこの道を通って仕事から帰ってくる」 
「この窓の外の風景からして、このひとの家はここだ」
「両親は共働きで夕方は一人で家に居る高校生だ」
といったように、犯罪に使えてしまう情報が満載ということになります。

SNS以外の匿名掲示板でもIPアドレスからある程度の情報が取られてしまうこともあります。
お暇な学生さん、IPアドレスからの身バレには気をつけて

また、写真に緯度と経度のGPS情報が入ったままでネットに上げている方も多く、自宅で撮った写真から簡単にお住まいが特定できてしまいます。
いくら日本が平和な国とはいえ、最近は物騒ですから、出来るだけ自分の個人情報は守るようにしましょう。

※写真に含まれる位置情報は、スマホやデジカメの設定で情報オフにするか、ネットに上げる際に対応ソフトを使って情報削除をしない限り含まれたままです。
「今までそんなこと気にしたことも無かった…」という方は、この機会に使っている機器の設定情報を確認してみてくださいね。
ブログやSNSの中にはアップロードの際に自動で情報削除してくれるものもあります。
また、スマホやカメラを買った時の担当さんが気を利かせてあらかじめGPS情報の設定をオフにしてくれていることもあります。

更に、小さなお子さんの親御さん。
子供の可愛い場面を見てほしい!というお気持ちは分かるのですが、自分の情報を自分で守れない小さなお子さんを守ってあげられるのは親御さんだけです。
お子さんの名前や年齢、通っている幼稚園、好きなもの、よく遊びに行く公園。
ブログやTwitterに載せているそれらは、犯罪者からしたら知りたい情報がダダ漏れの状態です。
可愛いお子さんのために、公にする情報には注意を払うようにしましょう。

もし自分の幼児期の写真を勝手に親にネット公開されてたら私なら怒ります。
ダウンロード保存されて知らないひとのPCに保管されてたり、幼児愛好の悪趣味なサイトで二次公開されてるかもしれないと思うとゾッとします。
しかもネット上でコピーされ公開され広がったものは完全に削除することはほぼ不可能ですから、お子さんの微笑ましいお風呂シーンや可愛い水着姿の写真も、心無い変質者の手に渡ったら最後です。
お子さんが大きくなった頃に怒られないよう、ネットに載せる写真についても良く考えてくださいね。

ちなみに私が学生だった10年ほど前は、サークルのホームページなどに皆で撮った写真を載せるとなったら、写真に写っている全員にネットに載せても良いか、ダメならその子の所だけモザイクかけるか切り取らせてもらって良いか、といったことを尋ねてから載せていたのですが、
今は問答無用で載せるひとが多いんですよね…。時代は変わったものです。
それだけネットが身近なものになったということなのでしょうが、そのぶん危機感も無くなってしまったように思います。

ネットの向こうにいるのは人間です

顔が見えなくても、声が聞こえなくても、ネットで繋がっている先には誰かが居るのです。
しかもインターネットは全世界に向けてオープンなものであり、老若男女関係なく多くのひとが触れるものです。
しかも一度ネット上に載ってしまった情報、拡散してしまった情報を削除して回ることはほぼ不可能です。
不用意な発言や行動は慎むに越したことはありません。

誰かにメールを送る時や、ブログにコメントをする時、TwitterやLINEで返信する時などは、こういったことを今一度よく考えて、失礼のないように心掛けましょう。
相手が家族や友人であっても、親しき仲にも礼儀あり、ということで余所余所しくならない程度に、最低限の気は遣うべきだと思います。

何か許せないことがあって、相手に怒りのメッセージを送るような時も、そのまますぐに送るのではなく時間を置いてみましょう。
出来れば一晩経ってちょっと冷静になってから見直してみましょう。
そのメッセージが、ネット越しではなく相手に面と向かってであっても言える内容か、誰に見られても恥じることのない内容か、どうしても今伝えなければならない内容か。
そういったことを考えている内に、意外と自分はくだらないことに腹を立てていたんだなあ、とかこんな言い方しなくてもいいよね、書き直そう…とか、気持ちも落ち着いて不用意なメッセージで相手を不愉快にさせなくても済むかもしれません。
逆にぶしつけなメッセージが送られてきてイラッとしたら、「このひとはネットリテラシーの無い残念なひとなんだな…」と海のように広い心でスルーできる大らかさを身につけたいところです。

なんにしても、便利なものは使うひとしだいで悪いものにもなります。
スマホでより一層ネットは身近になりました。
楽しくネットを活用するためにも、少しだけネットリテラシーに気をつけてみてくださいね。

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