【文字フォント】フォントに歴史あり

前回記事 【文字フォント】フォントの種類と変更方法 にて種類の大まかな分類などをご説明いたしました。

今回は世の中に数えきれないくらいあるフォントのほんの一部ですがご紹介したいと思います。
全てフォントサイズは同じにしてありますが、文字幅も違えば、印象もかなり違いますので見比べてみるとその違いが分かりやすいかと思います。
また、それぞれのフォントの読み方や、簡単にまとめた成立の由来もご説明しているので、今までフォントに興味が無かった方にも楽しんでいただければ。
文字フォントの成り立ち

目次

日本語フォント(和文フォント)の比較

とりあえず私の独断と偏見によって皆さんが見かけたことがありそうなフォントを並べてみました。
メールや書類で良く使われるゴシックやメイリオは皆さんが一番見かけるフォントではないでしょうか。
小塚ゴシックはWEBサイトやデザインロゴなどで見かけます。
楷書体や教科書体は真面目な感じ、反対に丸ゴシックや英角ポップは可愛い印象ですね。
日本語フォント

MSゴシック、MS P ゴシック、MS明朝など

MS=Microsoftの略。
主にMicrosoftのソフト(WindowsやOfficeなど)の中に入っているフォントに付いています。

Pプロポーショナルフォント=文字毎に文字幅が異なるフォント。

これを踏まえると『 MSゴシック 』が『 Microsoftがゴシック体を元にして作ったフォント 』、『 MS P ゴシック 』とは『 モノスペースフォント(等幅)であるMSゴシックをあえて文字幅が文字ごとに違う、プロポーショナルなバージョンにしてみた 』ということですね。
※前回記事のmonospace(モノスペース)を合わせてご覧ください。

メールではモノスペースフォント(等幅)の方が綺麗に並んで見やすくなりますし、パワーポイントで作る資料などであればプロポーショナルフォントの方が見やすいこともあります。
どっち使えばいいの、と悩んだ時は、とりあえず同じ文章をコピーして作り、それぞれにフォントを適用して見比べてみて、自分が見やすいと思う方を選ぶと良いと思います。

メイリオ、Meiryo UI(メイリオ ユーアイ)

コンピューターの画面上でも、紙に印刷しても、はっきりと『 明瞭 』で読みやすいフォントということで制作陣が「 明瞭 」と呼んでいたところ、海外スタッフの発音が「 メイリオ 」に聞こえ、「 メイは響きが良く、リオはエキゾチックな感じを受ける。それにメイリョウより1文字減らせる 」 という経緯で『 メイリオ 』になったそうです。
英語表記では『 Meiryo 』と記載されます。

メイリオの和文の部分(漢字・仮名)は河野英一さんと株式会社シーアンドジイさんが、欧文の部分(英字)はMatthew Carterさんがデザインしました。
カーターさんについて詳しくは下記のGeorgiaの項目をご参照ください。

Windowsのシステムフォント

WindowsVistaの標準システムフォントとしてメイリオが生み出され、
Windows7ではMeiryo UIが限定的に採用され、
Windows8ではMeiryo UIが標準採用されました。
最新のWindows10ではYu Gothic UI(游ゴシック体のUIバージョン)になったので、システムフォントとしてのメイリオとは一旦お別れですね。
UI;ユーザーインターフェース(使い勝手)がアップしたよ!という意味

小塚ゴシック(こづかごしっく)、小塚明朝 Pr6N

小塚昌彦さんが制作指揮を行い、Adobeが製作したフォントに 『 小塚 』が付いています。
私は小塚ゴシックのシンプルですっきりしているところが好きで、画像に入れる文字に良く使っています。

フォントの太さについて

HGゴシックE のように、フォント名の後ろにある1文字か2文字の英語はフォントの太さを表しています。
例えば小塚ゴシックProだとこんな感じに。
フォントの太さ比較
太さでも結構印象が変わりますね。
太さに関わらず日本語が読みやすいのが小塚ゴシックのいいところ。

 ↑細い↑
UL(ウルトラライト)
EL(エクストラライト)
L (ライト)
R (レギュラー)
M (ミディアム)
DB(デミボールド)
B (ボールド)
EB(エクストラボールド)
H (ヘビー)
EH(エクストラヘビー)
 ↓太い↓

このように更に細かく分かれているフォントも世の中にはあるようなのですが、デザイナーさんや印刷屋さんでも無い限り、全部覚えている方はあまりいらっしゃらないのではないでしょうか。
とりあえずLが細め、Rが普通、Bが太字ということくらい覚えておけば大丈夫なはず。

HG丸ゴシックM-PRO(エイチジーまるごしっくエムプロ)、HG創英角ポップ体(エイチジーそうえい かくぽっぷたい)など

HGは 『 High Grade 』 の略で株式会社リコーが作ったフォントに付いています。
これらはMicrosoft Officeに含まれているフォントですが、単品購入して使いたい場合はリコーから購入できます。
HG丸ゴシックM-PRO

英字フォントの比較

英字は半角のみ対応のため、英字フォントを適用したい箇所は全角で打たないように注意が必要です。
また、英字フォントは小文字で打ったとしても大文字になってしまう場合があります。
一般的な英字フォント

Arial(アリアル)

アリアル

読み方は特に決まっていないようで、アリアル、エーリアル、エイリアル、アーリアル、アライアルなど、皆さん好きなように呼んでいます。
なんだか少し前のASUSの読み方議論を思い出しますね。

Monotype社の依頼によってRobin Nicholasさんと Patricia Saundersさんがデザインしたフォント。
Macに標準搭載されているHelvetica(ヘルベチカ)に似たフォントをWindowsでも、と生み出されました。
私なんて所詮あの子の身代わりでしかないのね、といじけてもおかしくない生まれ育ちですが、ArialにはArialの良さがある、はず。と思うとついArialに同情して意味もなく使う時があります。

Baskerville(バスカヴィル)

バスカヴィル

イギリスのJohn Baskervilleさん作の伝統・高貴さを表現したと言われるフォント。
こんな感じで製作者さんのお名前がフォントの名称になっていることが多々あります。

ローマン体(和文書体における明朝体のような位置)を時代順に4つに分けた場合、ヴェネチアン・ローマン、オールド・ローマン、トランジショナル・ローマン、モダン・ローマンとなります。
この内、トランジショナル・ローマン体の代表がこのバスカヴィルですね。

『 美しい本を作りたい 』とただそれだけを願ってインク、製紙、活字鋳造の各分野に技術革新をもたらした印刷工であるバスカヴィルさん。
「黒々としたインクで、しっかりした紙に、はっきりくっきりした文字を完璧に印刷するんや!!」とパンチカッター(活字父型彫刻師)として雇っていた John Handyさんに自分の設計した文字を彫らせ、それがバスカヴィルという活字書体になりました。

18世紀初頭の英字フォントの標準はキャズロンでした。
そこに颯爽とあらわれたバスカヴィルを待っていたのは国内の同業者達からの妬み混じりの批判。
「 Hurt the eye(意訳;目がぁぁー目があぁぁー)」
「 Responsible for blinding the nation (意訳;国民が無知蒙昧なのも全部お前の書体が読みづらいせい) 」
とアンチに叩かれ、失敗作扱いされてしまいます。

しかしバスカヴィルはボドニさんやベンジャミン・フランクリンさんといった他国の人達から絶大な支持を受けました。
更に後にLinotype社やMonotype社によってリメイクされ、世界的に認められていきます。

今私達がコンピュータ上で目にするバスカヴィルはリメイクされたバスカヴィルなので、本来バスカヴィルさんが作った最初の書体とはちょっと違っています。
ていうか製作者さんとフォント名が同じだと文章めっちゃ分かりづらいですねすいません。

Bodoni(ボドニ)

ボドニ

イタリアのGiambattista Bodoniさんが作った、広告業界で人気のフォント。
なんかシュッとした女性ファッション誌とかで良く使われてそう(個人のイメージです)。

上記のバスカヴィルに影響を受けたボドニさんは、手書き文字の名残を削ぎ落とし、徹底的に合理的に機能的に幾何学的に、シンプル・イズ・ベスト!を目指してボドニというフォントを作り、その後のタイポグラフィー(活版印刷および活字書体のデザイン技法)に大きな影響を与えました。

ボドニさんはパルマ公国の王様・パルマ公により王立印刷所の管理者に任命されたことから『 王の印刷人 』や『 タイポグラファーの王子 』とも呼ばれます。
任された印刷所からキリスト教の最も代表的な祈祷文である『 主の祈り(Lord’s Prayer、主祷文とも) 』を155の言語で出版し、また ホメーロスの『 イーリアス 』 を出版したことでも知られています。
ボドニさんは『 Manuale tipografico(活版印刷の手引き) 』の執筆中に亡くなり、後に奥さんと印刷職人さんの力で完成した本が出版されています。

※下記のヴィヴァルディを生み出したデザイナー、Friedrich Peterさんも『 主の祈り 』をテーマにした作品を製作しています。

Calibri(カリブリ)

オランダのデザイナー兼工芸家、Luc(as) de Grootさんによるフォント。
前から不思議なのですが、お名前はなんでカッコ付きなんでしょうね。
ルーカスって呼ばれたくないのでしょうか。ルクかリュックって呼べよ、的な?
それか『 Look as de Groot(デ・フルーテのように見える) 』という言葉遊びな感じ?

Microsoftのソフト用になんかいい感じのを作ってよ、という依頼により生まれたCalibri。
Microsoft OfficeソフトのPowerPointや、英語圏のメールソフトで良く使われています。
私が良くメールで使うフォントでもあります。

Courier(クーリエ)というフォントもルーカスさんがMicrosoftの依頼によって作ったものです。
ルーカスさんはタレ目の割とイケてるおじさまなので宜しければ画像検索してみてください。

Caslon(キャスロン、キャズロン)

William Caslonさんが生み出したフォント。
上のバスカヴィルの項で時代順にローマン体を4つに分けた属性をご紹介しましたが、このキャズロンはオールド・ローマンに属します。

私はキャズロンの中の一種類でAdobeソフトに付属している『 Adobe Caslon Pro 』を使っています。
このように基本となるフォントから多数の派生フォントが生まれており、一つのフォントでも色んな種類があります。

Century Gothic(センチュリー ゴシック)

センチュリー ゴシック

Monotype社のデザイナーだったSol Hessさんが作ったMonotype Twentieth Centuryをベースにして生み出されたフォント。
ソルさんはアメリカで4番めに多くのフォントを生み出したデザイナーとされています。

センチュリー・ゴシックはすっきり可愛いフォントなので女性人気が高いですね。
古いWindowsやOfficeソフトでは標準で入っていたので、どこにでも存在するものだと勘違いしがちなフォント。
Microsoft Officeを購入・インストールしているパソコンなら使えるはず。

Garamond(ギャラモン)

ギャラモン

基本的にギャラモンですが、ガラモン、ガラモンドと呼ぶ方も居ます。
ガラモンと言われるとウルトラ怪獣を思い出してしまうのでギャラモンって呼んでほしい(個人的に)。
16世紀に生まれた由緒正しいフォント。

・パリの活字父型彫刻師のClaude Garamondさんが作った活字
・印刷工のJean Jannonさんがリシュリュー枢機卿のために作った活字
・Robert Granjonさんがパリの印刷業界で完成させたイタリック体
これら3つを組み合わせたものが、現在存在しているコンピュータ用のフォント・ギャラモンです。

Georgia(ジョージア)

ジョージア

デザイナー、Matthew Carterさんが生み出したフォントの一つ。
カーターさんは「液晶モニタ上で見やすい文字を」とMicrosoftに依頼されてWindows用にジョージアを、Appleに依頼されてMac用にVerdana(ヴァーダナ)を作りました。
カーターさんはLinotype社、ビットストリーム社でデザイナーとして働いた後、カーター&コーンタイプ社を設立。現在はエール大学の教授も務めています。
ジョージアやヴァーダナの他にも、Big Caslon、Cascade Script、Elephant、Miller、Rocky、Sophia、Tahoma、メイリオ(欧文部のみ)などがカーターさんの作品です。

Myriad(ミリアド)

ミリアド

Adobe社のデザイナーであるCarol Twomblyさんと Robert Slimbachさんの2人によって作られたフォント。
Adobe ReaderなどのAdobeソフトに含まれており、Apple社の製品ロゴやパッケージ、Webサイトでも使われています。

キャロルさんはローズウッドやトレイジャンといった有名フォント作成者の一人でもあります。
1984年にモリサワ・タイプデザインコンペティションで最優秀賞を受賞した方。
ちなみに2016年のコンペの欧文フォント審査員には上記のジョージアを作ったマシュー・カーターさんが参加しています。

ロバートさんはAdobe社のオリジナルフォントデザインに携わっており、Plantin-Moretus museum(プランタン=モレトゥスの家屋・工房・博物館複合体)に足を運んでオリジナルのギャラモン活字体について学び、Adobe Garamondのデザインに活かしています。

Palatino(パラティーノ)

パラティーノ

Hermann Zapfさんによって生み出されたフォント。
ヘルマンさんはパラティーノの他にもOptima、Zapf Chancery、Zapf Dingbats といったフォントを作成しています。

ヘルマンさんはドイツが政情不安のまっ只中、更にスペイン風邪がパンデミックを起こした1918年に生まれ、16歳から印刷工見習いとして働き、苦労しながら真面目に技術を磨きます。
その後、第二次世界大戦時には軍の地図製作者として従事、戦後はLinotype社の下請け的な鋳物工場でアートディレクターとして働き、ロチェスター工科大学でコンピュータプログラミングにおける文字表記の教授になりました。
20歳で初めてフォントをデザインしてから、2015年に96歳で亡くなるまでに実に200以上のフォントを世に送り出し、それらのフォントは現在も多くのデザイナーに支持され愛され続けています。

特のこのパラティーノは読みやすさに定評があり、DTP(印刷用出力)の際に使われることが多く、長い文章(小説や論文)を書く人にはお馴染みのフォント。
ちなみにMicrosoftによってHelveticaの身代わりとしてアリアルが生まれたように、このPalatinoの身代わりに生み出されたのがBook Antiqua(ブック・アンティーカ)というフォントです。

Trajan(トレイジャン)

トレイジャン

トラヤンやトラジャンと呼ぶ方も居ますね。
約2,000年前の古代ローマの 『 トラヤヌス帝の碑文 』 に残された文字を元に作られたフォント。
トラヤヌス帝の、というところから考えるとトラヤンが一番正しい読み方のような気も。
2,000年前には小文字が存在していなかったので、このトレイジャンも大文字だけのフォントです。
上のミリアドの項でもご紹介したCarol Twomblyさんが製作者です。

拡張高く見栄え良く、ありとあらゆる場所で使われる王道フォントのトレイジャン。
確かにとても美しいフォントで私も好きです。この記事のアイキャッチ画像の英字部分もトレイジャンを使いました。
しかし王道過ぎて氾濫している感も…。

Times New Roman(タイムズ・ニュー・ローマン)

ローマンを伸ばさずにロマンと読む方も多いですね。
新聞社タイムズに依頼されStanley Morisonさんが生み出したフォント『 Times 』。
後にロンドンの広告デザイナーだったVictor Lardentさんと共にTimesをリメイクしたのがTimes New Romanです。
Linotype社のライセンスに基いて作られたのが 『 Times 』 (Mac OSに入ってる)で、
Monotype社のライセンスに基いて作られたのが 『 Times New Roman 』 (Windowsに入ってる)です。
Linotype社もMonotype社も著名な書体デザイン企業です。
主要なフォントはこの二社のどっちかがライセンスを持っているような気がします。

スタンリーさんは、Plantin(プランタン) や キャスロン が主流だったところに、過去の活字書体を復刻し、デザインの再発見を促したことで、タイポグラフィの世界にルネッサンスを起こしたと言われます。

ちなみに私はしばらくの間、ウィスキーの醸造販売をしているボウモア社のスタンリー・P・モリソンさんと同一人物だと思っていました。
同じイギリスの方だし、ウィスキーボトルのラベルデザインがいい感じにオシャレだったから何か納得してたんですよね…。

Segoe(シーゴー)

シーゴー

シーゴーは元々はMonotype社のSteve Mattesonによって考案された、温かみがあって読みやすい文字を目指して生まれたフォントです。
Microsoft社のロゴに使用されたり、プログラムの標準フォントだったりしています。

後にMonotype社のカスタムフォント部門に在籍していたCarl CrossgroveらによりSegoe Print、Segoe Scriptが生まれました。
更に後に生まれたSegoe UIはFrutigerのパクリじゃねーか!とLinotype社に訴えられたりしています。

verdana(ヴァーダナ)

ヴァーダナ

Linotype社のデザイナー、Matthew Carterさんが生み出したフォントの一つ。
カーターさんは「液晶モニタ上で見やすい文字を」とMicrosoftに依頼されてWindows用にジョージアを、Appleに依頼されてMac用にヴァーダナを作りました。

Microsoftのホームページで主に使われているフォントです。
このブログでも最優先フォントはヴァーダナを設定しています。

特殊な英字フォントの比較

英字フォントには、上でご紹介した一般的なフォントの他にも少し変わった形状のフォントがあります。
常にコレだと読みづらいですが、ロゴや見出しなどのアクセントに良いですね。
特殊な英字フォント

Bauhaus 93(バウハウス93)

バウハウス

Bauhausはドイツ語で『 建築の家 』 。
1919年に設立された世界初のデザイン教育機関・Bauhausをテーマにしたフォントです。
ナチスの弾圧によりBauhausは14年で閉校してしまいますが、アメリカに亡命した講師陣や生徒達により、Bauhausの理念とデザインが受け継がれ、後のデザインの歴史および教育に大きな影響を与えたことで、Bauhausはモダンデザインの聖地と呼ばれています。

スーパーマリオブラザーズのロゴはバウハウスを元にしているような感じがしますね。

Chiller(チラー)

チラー

身の毛もよだつ、肌骨を驚かす、怪奇小説やホラー映画といった意味の『 Chiller 』という名前のとおり、なんだか恐ろしげなデザインのフォントです。
これさえ使っとけばとりあえずホラーっぽくなる便利なフォント。

うちの猫さえも微ホラーに。
Reject only your ignorance
ちなみに「 Reject only your ignorance 」とは、アリス・イン・ナイトメア (American McGee’s Alice)というホラーゲームでチェシャ猫がアリスにした助言の一節。
「 Your knife is necessary, but not sufficient, always collect what’s useful. Reject only your ignorance–and you may survive.(ナイフだけでは充分とは言えない、役に立つ物があったらキープしておけ、捨てていいのは愚かさだけ。そうすれば生き残れる) 」

私はこのゲームがすごく好きなのでついでにご紹介してみました。
『 捨てていいのは愚かさだけ 』って含蓄のある台詞ですよね。

Curlz(カールズ)

カールズ エムティー

Monotype社のSteve Mattesonさんと Carl Crossgroveさんが作りました。
スティーブさんはシーゴーを考案したデザイナーさん、カールさんはシーゴーを元にSegoe Print、Segoe Scriptを作ったデザイナーさんです。
ユニークなデザイン、お祭り気分なデザインを目指した渦巻き装飾が可愛い。

Gigi(ジジ)

ジジ

ロサンゼルスのデザイナー、Jill Bellさんによって作られたフォント。
ジルさんはDisneyやJohnson & Johnsonなど数多くの企業にデザインフォントを提供しています。
ジジ、というのが女性、特に少女に対する愛称であるように、このフォントも女の子が書くような可愛らしい書体になっています。

Hobo(ホーボー)

ホーボー

Morris Fuller Bentonさんによって作られたフォントで、アール・ヌーヴォーの流れを汲んだ有機的な曲線を含むデザインが特徴です。
HOBOという名前の由来は、ロシアのタバコのポスターにインスパイアされたから、という説が今のところ一番有力でしょうか?

Jokerman(ジョーカーマン)

ジョーカーマン

Andrew Smithさんが作ったフォント。
子供の絵本に描かれているような楽しい雰囲気がいいですね。
ちなみに上でご紹介したホラーテイストなチラーをデザインしたのもアンドリューさんです。

Matura(マトゥーラ)

マトゥーラ

Imre Reinerさんが作ったモダンで優美なフォント。
イムレさんは、F. H. Ernst Schneidler さんに師事し、デザインやカリグラフィを学びました。
エルンストさんは自身が著名なタイポグラファーだっただけでなく、イムレさんを始めとして何人も優秀なタイポグラファーを世に送り出した立派な教育者でもあります。

『 Matura 』はオーストリアドイツ語で『 卒業試験 』らしいのですが、お師匠さんに提出する卒論みたいな感じでフォント作ったよ的な?
それとも何か他の由来があるのでしょうか。気になる。

OCR A(オーシーアール・エー)

オーシーアール

USA Bureau of Standards社によって作られたフォント。
OCR(Optical Character Recognition)とは、手書きの文字や印刷された文字を読み取ることができるイメージスキャナーなどの光学式文字読み取り装置のこと。
光学式文字認識(Optical Character Reader)という意味でも使われます。
こういった読み取り装置で認識できる(読み取れる)文字の形式がOCRフォントと呼ばれます。

機械が読み取りやすいようにデフォルメされたOCRフォントが『 OCR-A 』、
機械にも人間にも読みやすいようデザイン性を高めたものが『 OCR-B 』。
本の裏表紙に記載されているISBNコード、バーコードの数字として印字されるJANコードなどがOCR-Bの代表ですね。

Papyrus(パピルス)

パピルス

エジプトのパピルス(紙蚊帳吊:カミガヤツリの茎から作った紙)に書かれた古代文字にインスパイアされたフォント。
フォント作成者のChris Costelloさんはデザイナーでアーティストでミュージシャン。

インタビュアーに
「何時でもどこにでも存在する偏在性(ユビキタス)のある、とても人気のフォントですよね」
と言われ、答えたクリスさん曰く、
「最初はCDのジャケットや映画のクレジットなんかであの娘(Papyrus)が使われて超クールだと感じてたんだけど、その内に垢抜けないダイレクトメール、ローカルな掲示板、みんなの名刺、不動産や住宅ローンの広告なんかでも見かけるようになった。すっかり希釈され、薄められ、元の魅力を失った。俺のあの娘はもう終わコンになっちまったんだ…(意訳)」
と、ちょっと複雑な気持ちなのだとか。

私は今でもこのフォントのファンタジー感が好きですけどね。
うちのような会社では日頃あまり使いみちがないのが残念です。

Rosewood Std(ローズウッド スタンダード)

ローズウッド

Linotype社のデザイナーであるKim Buker Chanslerさんと Carl Crossgroveさん、AdobeシステムズのデザイナーだったこともあるCarol Twomblyさんの3名が作ったフォント。

キャロルさんはトレイジャン、ミリアド、アドビ キャスロンといった有名フォントのデザインにも携わった方です。
カールさんもシーゴーとキャスロンの項でご紹介しましたね。

ローズウッド(紫壇)がシックな木目で工芸品や楽器の材料として愛されているように、このフォントも重厚さと華やかさを合わせたデザインになっています。

Stencil(ステンシル)

ステンシル

Nikola Djurekさんがデザインした、テンプレートを使って図形や文字を描くステンシルのようなフォント。
ニコラ・テスラと同じクロアチア人で同じニコラさんなんですね。

コンピュータ上でどう見えるかよりは、印刷した時に映えることを重視したフォント。
小中学生の頃は好きなアーティストのCDをダビングしたテープにこんな感じのフォントのレタリングシートで曲名をレタリングしてました。懐かしい。

Showcard Gothic(ショーカード ゴシック)

ショーカード ゴシック

Jim Parkinsonさんによってデザインされたフォント。
ジムさんは多くの雑誌や新聞のために専用フォントをデザインしている著名なデザイナーさんです。
中でもNewsweek、ローリングストーン誌や、ウォールストリートジャーナルのロゴは皆さん見覚えがあるのではないでしょうか。
ジムさんは自らParkinson Type Design社を設立し、制作したフォントを公開しています。

Vivaldi(ヴィヴァルディ)

ショーカード ゴシック

ドイツからカナダに移住したデザイナー、Friedrich Peterさんが生み出したフォント。
マニフィカというフォントもフリードリヒさんのデザインです。
また、フリードリヒさんは切手、記念コイン、記念メダル、本のイラストやバナーデザイン、壁画など幅広く活動しており、カナダ国民に親しまれています。

私は別にキリスト教徒という訳ではないのですがフリードリヒさんの手がけた『 The Lord’s Prayer 』のデザインとカラーが好きです。
Bodoniの項目でボドニさんが出版した『 主の祈り 』のお話をしましたがそれと同じく、イエス・キリストへの祈祷文を元にした作品で、ただ読み上げて祈るのではなく、視覚からも感じるように表現できないかと試みたもの。
こちらはその一部、祈りの最後の『 国とちからと栄えとは限りなくなんじのものなればなり。アーメン 』 という部分です。
The Lord’s Prayer

ロゴに使われるフォント

ショップのロゴ、本や映画のタイトル、Webサイトのデザイン。
様々な場所でデザインフォントが使われています。
その中から一部をご紹介
フォント活用例

Facebookのフォント

FacebookやAdobeは元となったフォントをちょっと改造しているようですね。

Yahoo!っぽいフォント

Yahooっぽいフォントは逆にYahoo!のフォントを真似たフリーフォントです。
Yahoo!っぽいフォントについては【文字フォント】おすすめ英字フリーフォントにてご紹介しています。

どこにでも居るフォント;トレイジャン

ホラー、ヒューマンドラマ、社会派、感動ロマンス、果てはチョコのゴディバまで。
何もかもがトレイジャン。
これが巷で噂のトレイジャン使われすぎ問題(月曜から夜ふかし風)ですね。
映画タイトルは結構な割合でトレイジャンなので、是非レンタル屋さんや映画館でタイトルのフォントを注意してご覧になってみてください。

過去記事

フォントについての他記事も宜しければ合わせてご覧ください。

【文字フォント】フォントの種類と変更方法
【文字フォント】フォントに歴史あり(この記事です)
【文字フォント】源ノ明朝(げんの みんちょう)のインストール手順
【文字フォント】Calligraphrで自作の手書きフォントを作る
【2018年版】おすすめ英字フリーフォント

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