学問にまつわるホリデーロゴ

特別なイベントや偉人の生誕記念にたった一日だけGoogleトップページに表示される
Googleトップページのホリデーロゴ
その中でも私が気に入っているロゴを、そのロゴの由来と共にご紹介したいと思います。
アニメーションが見られるものもありますので
是非タイトル部分のリンクから実際のロゴを見に行ってみてください。

以下クリックでご覧になりたい各項目へジャンプできます

ニコラス・コペルニクス 生誕540周年
地動説を唱えた天文学者、コペルニクスの生誕記念ロゴ。
太陽系のアニメーションを見ることができます。

ヘルマン・ロールシャッハ 生誕129周年
ロールシャッハテストを考案した精神科医、ヘルマン・ロールシャッハの生誕記念で、
テストに使用されるロールシャッハ図形をモチーフにしたロゴです。

ペトリ生誕161周年
シャーレ(ペトリ皿)の発明で知られるドイツの細菌学者、ペトリの生誕記念として
身近なものから採取した細菌の繁殖を見られるロゴです。

牧野富太郎 生誕記念
近代植物分類学の権威であり、『日本の植物学の父』といわれる牧野富太郎の生誕記念ロゴです。
高知県にある牧野植物園のご紹介も。

南方熊楠 生誕145周年
博物学者、生物学者、民俗学者である南方熊楠の生誕記念ロゴです。
偉大な学者であり大変な変わり者でもあった熊楠について、
そしてエコロジーと特撮ヒーローについてのお話。

ニコラス・コペルニクス 生誕540周年Nicolaus Copernicus’ 540th Birthday

天文学者ニコラス・コペルニクスに敬意を表して太陽系を模したデザインになっており、
天体がぐるぐるしているアニメーションが見られます。
コペルニクス
コペルニクスは当時では当たり前に信じられていた地球中心説(天動説)に反論し、
太陽中心説(地動説)を唱えたことで有名ですね。
その当時、キリスト教の教えを元にしていた天動説に反旗を翻すということは
異端審問にかけられて火あぶりになってもおかしくないことでした。
そのためコペルニクスは地動説について記した本を自分の死後に出版しました。
策士ですね。でも自分の信じた説を公表できたのも、世間に認められたのも
全てが死んだ後というのはちょっと切ない・・・

ヘルマン・ロールシャッハ 生誕129周年Hermann Rorschach’s 129th Birthday

ヘルマンさんは世にも有名な(?)ロールシャッハテストを考案した精神科医です。
ロールシャッハテストは、左右対称になっているインクのシミが被験者には何に見えるか、
そしてそれをどういう風に表現し伝えるかによって心理分析を行うといった手法です。
ロールシャッハ
このロゴではロールシャッハテスト風にデザインされた図案が表示されています。
ロールシャッハテストでは大元になる10枚の図柄があり、
事前知識があると意味がなくなってしまうため基本的には図柄は非公開です。
実際に診療を行う前に図柄を見たことがあればその時の印象が残っていたり、
他の人が何に見えると答えるかを知っていて答えを合わせてしまうと、
本当にその人がその時に感じたことではなくなってしまうからです。
このテストの妥当性や正確性についてはずっと論議が交わされている所ではありますが、
あなたも私もいつか何かの拍子に心療内科にお世話になるかもしれません。
その時になって「すいません、これ前に見たことあるんで、やってもらってもあんまり意味ないかも…」と
おずおずとお医者さんに申告する羽目にならないように
何かの拍子にネットのどこかで見かけた時にはそっとページを閉じてください。

ペトリ生誕161周年Julius Richard Petri’s 161st Birthday(ちょっぴり閲覧注意)

ペトリ
ドイツの細菌学者、ユリウス・リヒャルト・ペトリはシャーレ(ペトリ皿)の発明で知られています。
多くの人が理科の実験で使ったことがある、もしくは教科書で存在を知っているシャーレ。
ペトリは細菌を培養するための寒天などを入れる容器としてこの浅いガラス皿を考案しました。
ペトリ皿の発案により、細菌をより培養しやすく、そして微生物や細菌の識別が容易になったのです。

そんなペトリを讃えたこのロゴでは、
再生ボタンを押すと綿棒を持った手が現れ、シャーレの上に溶液を塗っていきます。
しばらく待つと……増えた細菌が……うえぇぇ(||´Д`)
そしてそれぞれのシャーレにマウスポインタを合わせると、
それがどこから取ってきた細菌かが分かるようになっています。
靴下、ドアノブ、キーボード……あんまり嬉しくない現実を見ることになりますが
こうして細菌や微生物の研究をしてくれている人たちのおかげで
現代の医学や科学は進歩しているのですね。

牧野富太郎 生誕記念Tomitaro Makino’s Birthday

『日本の植物学の父』といわれ、多数の新種植物を発見・命名した近代植物分類学の権威、
牧野富太郎の生誕を記念したロゴです。
誕生日の4月24日はその生涯の功績を称えて『植物学の日』に制定されています。
牧野富太郎
私は密かに今年の4月24日も牧野さんのロゴにならないかなあと期待しています。

高知県立牧野植物園

牧野富太郎の業績を記念して1958年(昭和33年)に造られた植物園で、
五台山(ごだいさん)という山の一角と一体化した自然な状態で3000種近い植物が栽培されています。
Googleマップで園内を少し見ることができますのでご紹介したいと思います。
春や夏なら見ごろの花も多く綺麗な景色を楽しみながらのハイキングにも最適です。
残念ながらこのGoogleマップの撮影が9月ごろだったようでちょっと地味かもしれませんが
日ごろ街中では見かけない植物が多く、植物が好きな方には
お楽しみいただけるかと思いますので、マップ操作で園内を歩いてみてくださいね(*´∀`)

温室
右手には池、左手奥に温室が見えます。
温室の中にはあまり日本では見かけない熱帯植物などが育てられています。
温室内の詳しい案内はこちらをご覧ください。

天皇陛下より賜った山桜
背後には土佐寒蘭センターが、山桜に向かって左手のほうへ行くと薔薇のアーチや物見台があります。

記念館 本館
本館には図書室やレストラン、グッズショップなどがあります。
ミュージアムショップ Byca-auren(バイカオウレン)では
牧野氏の描いた植物や書にちなんだグッズや、植物園らしい雑貨、お菓子などが販売されています。
また、この本館にある標本室は学術教育機関などの研究目的であれば
特別に入館許可が貰えるそうです。

ガーデンショップ nonoca
こちらでも植物にまつわる雑貨やお菓子、高知の作家さんの手による作品が販売されています。
高知ならではの物も売られているので、ご自分用にはもちろん、お土産にも最適。
詳しくはお店のホームページをご覧ください。
上のバイカオウレンやこちらのnonocaのスタッフさんのブログには
取り扱い商品や四季の植物がたくさん紹介されています。
先日は寒蘭のイベントが開催されていたようで、色彩豊かな蘭の写真が本当に綺麗ですね。

南方熊楠 生誕145周年Minakata Kumagusu’s 145th Birthday

南方熊楠
博物学者、生物学者(特に菌類学)、民俗学者である南方 熊楠(みなかた くまぐす)の生誕記念ロゴです。
熊楠は菌類研究の資料として多くのスケッチを残しており、
このロゴに使用されたキノコのイラストは熊楠のスケッチをモチーフにしています。

驚異的な記憶力、18カ国語を操ったと言われる卓越した言語能力、
あらゆる国を渡り歩き植物採集に明け暮れた行動力、『歩く百科事典』と呼ばれるほどの博学ぶり。
そんな熊楠は稀に見る多才な学者であり、大変な変わり者でもあったようです。
そのためメディアではその偉大な業績と合わせて
彼の奇行というか変人ぶりを取り上げられることが多いですね。

熊楠の逸話

偉大なる変人、熊楠の逸話についていくつかご紹介いたします。

■キューバでの植物採集旅行中に資金が尽き、
 2か月あまりサーカス団の一員になり 象使いの助手として生活しながら
 ハイチ、ベネズエラ、ジャマイカなどを旅した。

■ロンドンで亡命中の孫文と出会って意気投合、様々な議論を交わす。

■幽霊に教えられて度々珍しい植物を発見した。

■昭和天皇へ粘菌や海中生物について御前講義を行ない最後に粘菌標本110点を献上した。
 しかしその標本を入れていた箱はなんとお菓子のキャラメルの空き箱。しかも11箱。
 熊楠が亡くなった後に昭和天皇は「あのキャラメル箱のインパクトは忘れられない」と仰せられたのだとか。

■猫好きで、ロンドン留学中は猫を掛け布団代わりに寝ていた。
 飼う猫の名前は『チョボ六』、犬の名前は『ポチ』で統一。
 何匹居ても何代目でも名前は同じ。
 後の奥さん・松枝さんに出会ってからは、
 松江さんのお家に汚れた猫を抱えて行っては洗ってもらって会話の口実にしていた。

これは熊楠の逸話の一部ではありますが、既に色々とツッコミどころが満載ですね。
幽霊って意外と親切。あと奥さんの口説き方が可愛い。

日本で最初の『エコロジスト』

熊楠は明治政府が発令した『神社合祀令』への反対運動を行いました。
神社合祀令とは、古文書などに記された歴史の深い神社のみを残して
残りの神社を取り潰し、残った神社に経費や資産を統合して
国家神道の権威を高めるためのものでした。
神社が取り潰されれば、その周りにある鎮守の森も不要とされます。
鎮守の森には樹齢の永い木々があり、それは材木として高値が付いたため
次々と伐採されては売り払われました。
これに反旗を翻したのが熊楠を筆頭とした知識人です。

数百年もの永い間、人に荒されることなくそこに在った森には未だ誰も知らない苔や菌がいる。
それが伐採などで失われれば、生態系のバランスが崩れて
動物や自分たち人間にもどんな影響が出るか分からない。
それは一度失われれば二度と戻らないか、戻るにしても大変な月日がかかるものだ。

そうして『生態学=エコロジー』という言葉を用いて、
失ってからでは遅すぎる自然について説いた日本で初めての人物が熊楠です。
また、民俗学者でもある熊楠は、生態学の観点からだけではなく
その地に暮らす者にとって、神社とそれを囲む鎮守の森を失うということは
そこで遊んだ幼い日の思い出や、儀式や祭りによる住民の連帯感など
人の心にある大切なものを失わせるに等しいと憤ったのだそうです。
めっちゃいい人ですね熊楠さん。

唐突に仮面ライダーのお話

歴代のウルトラマンや仮面ライダーのストーリーの中で
自然破壊についてのテーマが取り上げられることがあります。

特に最後の昭和ライダーである仮面ライダーBLACK RXではそれが顕著に現れていました。
最終回に登場した敵の怪人の親玉いわく
「人間が驕り昂ぶり環境を破壊したせいで、地球と表裏一体となっている我が星は滅亡寸前。
 だから人間を地球から駆逐して俺達が移住するんだ!文句あんのか!」ということでした。
そんな侵略理由だと知ってしまうと、相手は怪人の親玉とは言え
なんだか申し訳ない事をしたような気がしてきますね。
でも仮面ライダーBLACK RXは容赦なくボスを倒して地球に平和を取り戻し、
「人間が地球を汚すと新たな怪魔界が生まれる、
 君たち一人一人がその事を胸に刻んでいてほしい」というようなナレーションで終わります。
自然を大切に、というメッセージがこれでもかと込められた最終回ですね。

今 日曜日の朝に放送されている仮面ライダー鎧武でも
ライダーの一人である戒斗くん(仮面ライダー バロン)は、
街を牛耳る巨大企業に皆と遊んだ思い出の神社と森を潰され、実家の工場を潰され、
今や「俺に力さえあれば・・・」的な考えの捻くれ気味の青年になってしまった、という設定です。
その巨大企業はどうやら神社のご神木が必要で
ご神木の周囲を立ち退かせて企業の本社を建てたらしいのですが・・・
街の皆を騙して怪人を生み出していると思われていたその企業は
実は怪人の世界がこちらに侵食してくるのを食い止めていて、
でもその方法は主人公にとっては納得できないもので、
ああもう俺は一体どうすればいいんだ!次回に続く!
といったところで今は全体のストーリーが後半に入ったあたりです。

虚淵玄さんの脚本だけあってとても面白いので大人気なく毎週楽しみにしているのですが、
大切な場所を奪われて力に執着するようになった戒斗くんを見ていると
ついこの熊楠の話を思い出してしんみりしつつ、
戒斗くんがいつかご神木を取り戻して穏やかに暮らせますように・・・と
もはや主人公や世界の命運とは全く関係ないところを応援してしまいます。

熊楠について書かれた本

逸話や功績の多い熊楠について書かれた本は数多くありますが、私が特にオススメしたいのがこちら。
猫楠 他 (水木しげる漫画大全集)
※リンク先: Amazon商品ページ

こちらは水木先生が熊楠について描いたシリーズを集めたものになっています。
熊楠について興味は沸いたけど小難しい伝記や分厚い資料集はちょっと、という方は
まずはこの漫画から入ってみるのも良いのではないでしょうか。

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