蒸し暑い夏にパソコンを使う時の注意点

だんだん暑くなって参りましたね。
まだ6月になったばかりだというのに夏が来た感がすごい。
夏がくる、パソコンが壊れる? の記事でもお伝えしましたが、
パソコンは暑さや寒さに弱い精密機器です。
気温と湿度が高い中で対策もせずに働き続ければ人間が熱中症で倒れるのと同じように、パソコンさんもあまりの暑さで部品が動かなくなったりします。

そこで、夏場にパソコンを使うにあたってご注意いただきたいことやお試しいただきたいことをご紹介します。

できるだけ快適な気温のお部屋で使う

パソコンの動作最適温度は15℃~25℃程度。人間が快適に感じる温度と同じくらいです。
暑すぎても寒すぎてもダメです。
熱くなりすぎれば部品はショートしますし、寒すぎても上手く電流が流れなくなり不調を起こします。
人間が熱中症になったり、冬に脳溢血が増えたりするのと同じようなものです。
パソコンや周辺機器を扱う時は出来るだけ空調を整えて、ご自分の体調のためにも快適な気温のお部屋で使ってください。
クーラーで快適気温
しかし世の中には色々な方が居るもので、
「 俺が若い頃はクーラーなんて無かった。ちょっとくらい暑くても我慢しろ 」
「 私は冷え性だからクーラー嫌いなの。あなたも若いからクーラー無くても平気でしょう 」
と、職場のクーラーを頑なに使わない方もいらっしゃるようです。

ご年配の方々が若かりし頃と今では、猛暑日の多さも、体感する暑さも違うように思うんですけどね。
現代日本では、コンクリやビルの照り返し、高層建築による風通しの悪さ、温暖化、頻繁なゲリラ豪雨による湿度の高さといった様々な要因から、人間が自力で耐えられる暑さと湿度ではなくなってきているので、根性ではどうにもなりません。ていうか熱中症ヤバい。
そしてそんな根性論ではパソコンの故障も止めようがありません。
なので、クーラーが苦手な冷え性の方にはとても申し訳ないのですが、出来ればクーラーをつけた上で、上着やひざ掛けなどで調整していただきたいところです。

それにパソコンやサーバー機器などが置いてあるお部屋は、それらの機器の動作熱がこもって室温が上がるため、外の気温よりも室温の方が高くなることが多いです。
『昔はクーラーなんて無くても平気だった』という方がいらっしゃるのは『昔の職場にはパソコンなどの熱を発する機械が少なかったから窓開ければなんとかなってた』ということもあるんじゃないかなーと個人的には思っています。

というわけで、不合理な謎の根性試しをして部下の体調を崩させたり、パソコンを壊したりする方がお近くに居たら、こう囁いてあげてください。

クーラー止めるのは構いませんけど…暑さでPCが壊れたり、それに伴って内部データが消失したりしたらもちろん責任取ってくださるんですよね? PCを使っている部下のせいにしたり、会社で加入してる保守サポートのひとに向かって逆ギレしたりしないでくださいね? 動作熱で部品が焼けたら修理は安くても1万超えるし、データ消失の場合は専門業者に復元依頼したら10万以上したりしますけど。しかもPCが壊れている期間の業務的な損失考えたら普通はクーラー入れますけどねえ…。
ついでにお伝えしておくと、労働安全衛生法という法律で『 事業者は、空気調和設備を設けている場合は、室の気温が17℃以上 28℃以下 及び相対湿度が40%以上 70%以下になるように努めなければならない 』って定められているのはご存知でしたか? 破ると会社と代表者に対して『 6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金 』 ていう罰則が課されるんですよ。あなたの個人的な主張で会社の評判が下がるのも、ましてや社長が法律違反で捕まるのもどうかなーと思いますけどねえ…

相手が上司でそんなに色々と言えないよ…という方は
パソコンが熱持って壊れそうなので、壊れる前にクーラー入れてもいいですか?
CPUとかグラフィックチップが焼けたら修理に何万円もかかるし、データが消えたら大変ですから。
修理や買い替えのこと考えたら電気代の方が安く済みますよ

とお伝えください。

車の中や直射日光が当たる場所に放置しない

上の気温の話とも通じますが、皆さんご存知のとおり、夏場の停車した車の中はとんでもない暑さになっています。
車でなくても、日光が当たる窓際なんかはかなりの暑さですよね。
直射日光
特にタブレット機種の場合、タッチパネルと液晶パネルの間に入っている接着剤が高温環境で溶けて液晶が見えなくなってしまうことがあります。
お仕事用に持ち運んでいるタブレットをついつい助手席などにポイッと置いて車を降りることがあるかもしれませんが、出来るだけ車内に置いていくのではなく、冷房がある快適な場所に一緒に連れて行ってあげてください。

また、リチウムバッテリー(電源コードを抜いた状態でも使えるようにするためノートパソコンの底面や内部にある充電池の中でもリチウムを使用している電池)は、極端な高温、あるいは低温環境で内部の電解液等が変質して最悪の場合は膨張・破裂・発煙・発火する可能性があります。
元々経年劣化していたり、基板不良から波及して電池も傷んでいる状態だったりすると、そういった変質が起こりやすくなります。
リチウム電池
通常のノートパソコンのリチウム電池であれば「なんか最近やたら熱を持ってるし、妙に膨らんできたな…」と気づいた段階で取り外して廃棄すればひとまず安心なのですが、AppleのMacBookシリーズや、最近増えてきた薄型軽量のUltrabookと呼ばれる機種では内部に電池が存在しており、自力で分解して取り外すのはなかなか難しい状態です。
そのため、かなり電池が膨らみ、キーボードを押し上げ、周りの部品を壊してPCが動かなくなり、という破裂寸前の段階になってから異常に気づくユーザーさんも居ます。

破裂や発火といったエライ事にならずとも、電池内部の状態が悪くなれば当然 電池の持ちが悪くなりますから、部品を長持ちさせるためにも、起動させていない時でも出来る限り涼しい場所に置いて保管してくださいね。

ちなみに、こうしたリチウム電池の発火による重大事故を防ぐために宅急便でリチウム電池を含む荷物(ノートパソコン等)を運ぶ場合は航空便ではなく陸送や船便による配送に限ると法律で決まっています。
「 なんか電池入ってると配送に日数が掛かるっていうからワザと品名に『 工具。リチウム電池無し・コンプレッサー無し 』って嘘を書いて出そう 」というような事は絶対におやめください。
荷物積み込み前の検査で引っかかるので、そのまま飛行機に乗ることはまず無いとは思いますが、もし万が一に検査をすり抜けてしまい、上空で発火しようものなら大変なことになります。

ずっと使い続けずにシャットダウンして休ませる

お仕事でメールや書類作業を8~10時間、友達とSkypeしながら動画を見ること5時間、という程度であれば、その時間ずっと稼働させたままでも全く問題はありません。

しかし、大きな負荷がかかる動画編集作業やオンラインの3Dゲームを長時間、今日も明日も明後日もパソコンの電源を入れっぱなし、基本的には年中スリープと起動の繰り返し、というようなことになるとパソコンの各部品には大きな負担が掛かり、内部の動作熱も冷えないままで使用し続けることになるのであまりオススメできません。

私が今までスリープで使い続けた時と、毎日ちゃんとシャットダウンさせた時の部品の傷み具合の印象からすると、2時間以上PCを触らないならスリープよりもシャットダウンしていただいたほうが電源部品や基板が長持ちする気がします。
スリープとシャットダウン

内部の動作熱をちゃんと排熱できるようにする

CPUファンの役割と故障修理についてでもお伝えしましたが、
動作熱を逃しているファンや排熱口(排気口)を出来るだけ綺麗に保つことでパソコン内部の熱を効率的に外に排出することができます。

逆にファンや排熱口にホコリが溜まった状態でパソコンを使い続けると、内部の動作熱は夏には100℃近くなることもあり、最終的にはマザーボード基板が自衛のために勝手に電源を落としたり、部品が焼けて電源が入らなくなったり、エラーメッセージが出たりします。
できるだけ汚れが溜まらないよう、日頃から注意してみてくださいね。

 icon-star-o 絨毯の上やお布団の上など、ホコリが入り込みやすい場所で使わない
 icon-star-o パソコン周りをマメに掃除して綺麗にしておく
 icon-star-o 排熱口についたホコリは取り除く、できればたまに内部の掃除もしてみる
   ご参考に icon-arrow-right パソコンを綺麗にお掃除してみよう!
 icon-star-o 油を扱う食べ物屋さん、ペットを飼っているお家、タバコを吸う方など
  汚れやすい環境の場合はPCを起動してない時はカバーをかけて汚れを防ぐ

うちも猫を3匹飼っているのですが、冬は排熱のぬくもりを求めて排熱口周辺に集うので困りものです。
あっちょっと、そこ塞がれるとまじ困るんでどいてくださいよ。
ああああ、そこでバリバリ掻かれると中に毛が入っちゃう、やめてえぇぇ!
鰹節あげますから、このクッションも毛布も譲りますから…!

とお猫様と交渉して排熱口の前から退去していただいています。
しかし日頃から気をつけているのに、たまにパソコンを分解して中を見てみるとそこそこ毛が入ってたりするので油断ならない。

また、とりあえず熱い所に風を当てれば冷えるのでは?というお考えで扇風機の風を排熱口に当ててみる方がたまにいらっしゃいますが、完全に逆効果です。
そこから熱い空気を逃しているのに、逆風を当てると熱風が内部に逆戻りし、その上に外からの風が吹き込むことで、ファンの動きと内部の空気の通り道をめちゃくちゃにしてしまうので排熱効率が下がり、熱による焼損の可能性が増えてしまいます。
排熱口を塞がない、逆風を当てない、というのを覚えておいてくださいね。

パソコン自体を風通しの良い場所に置くというのも良いと思います。
デスクトップパソコンにファイルを立てかけて並べたり、壁と家具の隙間に設置したりすると、パソコンの周囲に逃した熱がこもってしまうので、できるだけ周りには何も置かずに熱を逃がせるようにしておきましょう。
パソコン周りを整頓

冷やしすぎない程度に冷やす

夏場にパソコンが熱くなる時、熱を持っている部分は大体がCPU(人間で言えば脳に当たる、データの計算処理をしている部品)か電源ユニット等の電源部品(コンセントからもらった電気をいい感じの電圧に調整して各部品に流している心臓のような部品)です。
保冷剤とペンギン
尋常じゃないくらい熱くなってるのは分かってるんだけど、今はパソコンに働いてもらわないと困るんだ…!という時にはその熱くなっている部分をピンポイントで冷やすのも手です。
とはいえ、凍った保冷剤や、ビニールに入れた氷を直接当ててしまうと温度差がありすぎて、内部に結露が発生してショートする可能性があります。
どうしてもすぐに冷やしたい時には、冷蔵タイプの保冷剤や、濡らして堅く絞ったタオルを当てる程度が良いかと思います。

それでも不具合が起きたら

色々と気をつけていただいても、経年劣化や何かの拍子に部品が壊れてしまうことがあります。
もしもマザーボードの電源回路や、CPUといった部品が熱で破損したら修理や部品交換が必要になります。
メーカーさんや販売店さんの保証期間内であれば保証修理がきくと思うので、保証書や本体シールに書かれているサポートの連絡先に問い合わせてみてください。

メーカー修理の場合、出来るだけ作業を簡素化するために原因を特定せず、怪しい部分を丸ごと交換することが主です。
そのためデータの移行を行わずにHDDやSSDといった記憶装置部品もまっさらにするためデータが初期化されて消えてしまいます。
データが消えたら困る!という方は、自分でデータのバックアップを取ってからメーカー修理に出すか、メーカーではなく一般の修理業者さんに修理をご依頼ください。

既に保証期間が過ぎている場合も、一般の修理業者にご依頼いただいたほうがお安く済むと思うので、ご近所の修理業者さんや、弊社のように宅配修理を受け付けている業者にご依頼いただければと思います。

例えばうちだと、マザーボード修理の場合通常のノートパソコンやデスクトップパソコンで15,000円~25,000円くらい。
Appleの機種やUltrabook機種の場合は部品がお高いので20,000円~50,000円くらいしたりします。

「 しょっちゅう電源落ちるけどまだ起動するし使えるし 」とギリギリまで粘っていると破損箇所が増えたり、破損の度合いが進んで修理が効かず、丸ごと部品交換になったりするので余計に修理費用がかさみます。
これ壊れてるんじゃないかな…という症状が出始めたら、できるだけお早目にデータのバックアップを取っていただいてから修理をご検討くださいね。

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