メール送信エラーを知らせる 『MAILER-DAEMON』

送られてくるとちょっと悲しいMAILER-DAEMON(メーラーデーモン)

メールを日常的に使っている方であれば、皆さん一度は遭遇するであろう MAILER-DAEMON(メーラーデーモン) 。
これは『 何らかの理由であなたが送ったメールが届かなかった 』 ことを知らせる自動送信で送られてくるエラーメッセージです。

この MAILER-DAEMON が送られてくる原因は
・自分が送信先アドレスを間違えて入力した
・相手がメールアドレスを変えた
・相手の受信ボックス容量が既にいっぱいで受け取れなかった
大体がこの内のどれかですね。

知人に久しぶりにメールして MAILER-DAEMON が来るとちょっぴりショック。
メールアドレス変えたのかよ…教えてくれよ…という悲しみ。

MAILER-DAEMON はサーバーから自動で送信されてくるメッセージなので、これに返信や問い合わせをすることはできません。
こちらに出来るのはエラー内容の英文を読んで、何が原因か推測することのみ。

DAEMON=ダイモン⇒デーモンとは

MAILER-DAEMON の 『 DAEMON 』 は、古代ギリシャにおけるダイモン
あるいはダイモーンと呼ばれる概念が元になっています。

ダイモンとは
・神霊や精霊のようなもの
・人それぞれがもつ守護霊のようなもの
・人と神の間を取り持つ触媒のような存在
・ギリシャ神話における神に仕える者
など、その時々で様々な意味を持つ言葉です。

善性を備えるダイモンもあれば悪性を備えるダイモンもある、という解釈から転じて、西洋で悪魔を表す『 DEMON(デーモン) 』の語源ともなりました。

しかし元々『 DAEMON(ダイモン) 』 は神様の代わりに煩雑な処理をしてくれる良い神霊、というところから、コンピュータの世界でも、UNIX系OSにおいてユーザーを煩わせないようにバックグラウンドで待機・動作しているプログラムを『 DAEMON 』(読み方は西洋風になってデーモン)の名をつけてデーモンシステム(≒システムプロセス、常駐プロセス)と呼ぶようになりました。
ダイモンとデーモン

DAEMONさんは良いやつです

さて、バックグラウンドで待機・動作しているプログラム、と言われてもなかなか想像しづらいかと思いますが、あなたが使っているパソコンに、目には見えない守護霊が居ると想像してみてください。
守護霊のデーモンさんは、普段メモリという部分に腰掛けて今か今かと指令が下るのを待っています。
そしていざ「 ●●してね! 」という指令が下ると、ささっとお仕事に取り掛かり、素早くやるべきことを済ませてからまたメモリで待機するのです。

デーモンさんが受け持つお仕事も担当デーモンにより色々で、時刻を自動的に正しく合わせたり、ネット接続を維持したり、ショートカットキーに対応したメニューを動かしたり。
こうしたデーモンさんの中の一人が、サーバーさんに仕えているメーラーデーモンさんです。

日に何千何万というメールのやり取りを引き受けているサーバーさんが、
「 この送信先アドレス間違ってるみたいで届かなかったよ~ 」
「 こっちのメールは相手側のサーバーがシステムメンテナンス中で届かないだけかも? 」
と一つ一つ労力を割いて対応していたら大変なので、サーバーさんが使役しているメーラーデーモンさんが
「 おっとメールエラーっすね?じゃあサーバーさんの代わりに送信者さんにエラーをお知らせしてきますね! 」
と条件反射的に動いてエラーを知らせるメールを届けに来てくれているのです。
メーラーデーモンさんのおかげでサーバーさんの負担が減っているわけですね。

デーモンと聞くと何だか悪げな感じがしますが、DEMONではなくDAEMONなので、もっと皆さん親しみを込めてあのメールを受け取ってあげてください。

なんでDAEMONさんは英語しか話さないのか

デーモンさんはとても良いやつですが、基本的に英語しか話してくれません。
なぜなら、日本語を混ぜてメールを送ると文字化けすることがあるからです。

例えば日本語で 『 メールエラーが発生しました 』 と送ったつもりが、ユーザーが使っているメールソフトの文字コードが異なると『 $B%a!<%k%(%i!<$,H/@8$7$^$7$?(B” 』 と表示されたり。

せっかくエラーのお知らせを送ったのにそんなことでは困るので、デーモンさんはほぼ世界共通語であり、プログラムにおける標準言語である英語でメッセージを送る決まりになっています。

postmasterさんもメーラーデーモンさんと同じ

送信エラーメールを送ってきてくれるメーラーデーモンさんと同じようなお仕事をしている 『 postmaster 』 さんも居ます。
postmasterの英単語の意味は『 郵便局長 』ですが、この場合はメールサーバー管理者(代行)のような意味で、サーバー関連で何かしらの問題が起きた時に自動送信されるメッセージの送信元として表示されます。

postmasterさんもメーラーデーモンさんも『 Mail Delivery Subsystem 』 や『 Delivery Status Notification(Failure) 』といった件名でエラーメッセージを送ってきてくれます。

エラーメッセージを解読する

デーモンさんは英語しか話してくれないのが切ないですが、メッセージ内容には 『 なんであなたが送信したメールが届かなかったのか 』 が書いてあるのでエラー原因を突き止めるために頑張って内容を解読してみましょう。

アドレスが存在しない 『 User unknown 』、『 Host unknown 』、『 Host not found 』 『 I couldn’t find any host named 』 、『 Invalid recipient 』 『 No such user here 』、『 lookup failed 』 『 able to establish an SMTP connection 』

エラー内容に unknown、not found、Invalid といった単語が含まれている場合、送信先のメールアドレスが存在しない可能性があります。
メールアドレスを間違えて入力していないか、もしくは相手のアドレスが変更されていないかを確認しましょう。
また、相手側が受信拒否設定をしている場合も同じエラーメッセージが送られてくる可能性があります。

相手が受信拒否している 『 access denied 』、『 Relay denied 』

メールサーバーによっては、迷惑メール対策のために
・指定したアドレス以外を全て拒否
・連絡先として登録しているアドレス以外を全て拒否
といった、受信設定を行うことができます。

メールを送りたい相手がこうした設定を行っている場合や、本人も良く分からないまま設定してしまっている場合などにこちらから送信したメールが弾かれてエラーとなることがあります。

また、メールサーバーによっては、簡単に取得できるフリーメールをスパム登録しており、そのフリーメールから送られてきたメールを全て迷惑メールとして受信しないこともあります。
その場合は、相手側に『 このメールアドレスは受信して大丈夫 』と受信許可設定を登録してもらう必要があります。

相手の受信ボックスの容量がいっぱい 『 mailbox full 』、『 over quota 』 『 exceeded storage allocation 』

使っているメールサーバーによって、受信容量に規定があることがあります。
ずっと消さずにメールを溜めていた場合や大きなファイルが添付されたメールを受け取った場合などに、もうこれ以上メールを受け取る余地が無く、送ったメールが弾かれてエラーとなることがあります。

相手に不要なメールを削除して容量を空けてもらってから再送してみましょう。
また、こちらが画像や動画などの大きなフィイルを添付して送っている場合はファイル圧縮をして軽くしてから送る等の工夫をしてみてください。

容量が大きすぎる 『 too large 』、『 552 』、『 size exceeds 』

送信したメールの容量が大きすぎる場合にこういったエラー内容になります。
例えば写真や動画などの添付ファイルを付けて送ったメールで、相手(メールを受信する側)のサーバーが「 容量が大き過ぎるメールはこっちの負担が大きいから無理。受け取らない 」 と制限を掛けている時にこのエラーが発生します。

ファイルを小さく圧縮してメール添付するか、Web上のファイル転送サービスやオンラインストレージ(Dropboxなど)の共有フォルダを利用する(メールにはそのサービスの対応リンクを貼って相手にリンク先からファイルをダウンロードしてもらう)といった対策が必要になります。

システムの日付の異常 『 adjustment reminder 』、『 Setting the date and time 』

自分のパソコンの日時が実際の日時と異なる場合、つまりメールの送信日時が現実の日時とズレている場合に契約しているプロバイダーのシステム上、正常に送信されないことがあります。

パソコンの日時は本体内部の電池によって自動で維持されているのですが、電池の経年劣化や、基板内の部品不良によって上手く日時が保持できないことがあります。
何度か日時を再設定しても正常にならない場合には部品交換等が必要かと思いますのでメーカーさんや弊社のような修理業者にご相談ください。

サーバーに問題が発生 『 server timeout 』、『 451 』、『 0x80072af9 』

送信先のサーバまたはネームサーバに問題が発生している状態です。
相手側のメールサーバーの運営サイトなどでシステムエラーやメンテナンスが発生していないか確認してみましょう。
また、何らかの理由で相手のメールアドレスが利用停止状態になっている場合は 『 disabled or discontinued 』 と表記されることもあります。

MAILER DAEMON や postmaster を装った迷惑メール

皆さんがメーラーデーモンやポストマスターを見慣れたことを逆手に取って、ウイルス感染ファイルを添付して、エラーメールの振りをして送られてくる迷惑メールもあります。

そのため基本的にエラーメールが送られて来たら本文を確認して、誰に宛てたメールがエラーになったのか、どういったエラーか、この2点を確認したら、添付ファイルは開かずに削除するようにしましょう。

自分が送ったメールがエラーになった場合は『 さっき送った●●さん、アドレス間違えてたのかなー 』 という心当たりがあるはずですし、
添付されている送信メールも自分が送った件名のものになっているはずです。
逆に言えば、全く心当たりがないアドレスやエラー内容が記載されている場合は迷惑メールかもしれない、という目安になりますね。

また、ごくごく稀なことではありますが、あまりに多くのエラーメールが自分に届く場合は自分のメールソフトが乗っ取られて迷惑メールの送信元として利用されている、という可能性もゼロではありません。

何かウイルスに感染するようなお心当たりがある、つまり
・怪しいフリーソフトやアプリをインストールした
・迷惑メールの添付ファイルを開いて実行した
・怪しいリンクを踏んでしまった
・違法視聴サイトで音楽や動画をダウンロードした
といった身に覚えがある方は、念のためにウイルスセキュリティソフトで完全スキャンをかけてみてください。

セキュリティソフトのスキャンでは特にウイルスも見つからないけど、やっぱりいっぱい送信エラーメールが来る、覚えの無い送信履歴が残っている、というような場合にはリカバリー(パソコンのデータを出荷時の状態に初期化する)を試してみるのも良いでしょう。
リカバリーを行うことで、ウイルスを丸ごと消し去ることができます。
※自分が今まで保存してきたデータもまっさらになってしまうので 大切なデータは別のディスクや外付HDDなどにバックアップ保存してからリカバリーしてください。

リカバリーするためには、
・ご購入時に付属していたリカバリーディスク
・パソコン内部のHDDやSSDの中にあるリカバリーデータ
・自分で作成したリカバリーディスク
このいずれかが必要です。

最近の機種では、出来る限り付属品を省くためにリカバリーディスクが付属していることが減り、購入したパソコンを使い始めた時に出てくるメッセージに従って自力でリカバリーディスクを作っておかなければならない機種が増えてきました。
何なのか分からないから放っておこう…と、リカバリーディスクを作らないままPCを使っている方も多いのですが、こうしたウイルス感染で自力で駆除の方法が分からない時や、HDDやSSDといったデータ保存部品が壊れてシステムデータを入れ直す必要がある時にリカバリーディスクが必要になってきます。
取扱説明書やメーカーサポートを利用して、忘れずにリカバリーディスクを作成しておくようにしてくださいね。

・現状のデータや設定が消えたら困るからウイルスだけ駆除したい
・リカバリーを自力でやる方法が分からない
・リカバリーディスクやデータを持っていない

そんな方はメーカーサポートやパソコン修理業者にご依頼いただいた方が良いかもしれません。
感染の状態によりますが、大体どこの業者さんでもウイルス駆除料金は2,000~12,000円くらいの料金になるのではないでしょうか。
メーカーさんに出すと診断料とかサポート料金が上乗せされるのでもっと高いかも。

また、ウイルスによりデータが壊されてしまったり、あまりに多数のウイルスに感染していたりで、もうリカバリーするしか無いような状況で、お手元にリカバリーディスクやデータが存在しない場合は別途リカバリーデータの手配が必要になるので、その分の料金が掛かってもう少しだけ高くなることがあります。

ウイルスやセキュリティソフトについてのご相談がある方は弊社サイト ウイルス駆除 のページからお気軽にどうぞ。

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