PC内のCMOSバッテリーの劣化(と車のキーの電池交換)

CMOSバッテリー (CMOS電池)とは

パソコンの内部にはCMOSバッテリー (CMOS電池)と呼ばれるコイン型リチウム電池(ボタン電池)があります。
電源を切った後も、パソコンの基本的な設定情報・日付と時刻の情報(=CMOSデータ)を保持するためのものです。
CMOSデータを保持するためのバッテリー、ということでCMOSバッテリーと呼ばれています。

CMOSバッテリーは大体100円玉くらいの大きさで、表面に型番が刻印されています。
色々なCMOSバッテリー
4、5年以上使っているパソコンではこのCMOSバッテリーが劣化して
・何度設定し直しても日付時刻がズレてしまう
・自分が作成したデータが正しく保存されずに開けなくなった
・設定情報が間違っているというCMOSエラーが表示される
などの様々な不具合が発生することがあります。

更に電池の劣化が進むとBIOS(バイオス)プログラムが動かず、電源は入るけど何にも起動しない状態になります。
パソコンの電源を入れたら、まずBIOSが起動し、次にOS(Windowsなど)が起動するのですが、BIOSがCMOS情報を読み込めなければBIOSが正常起動しなくなってしまうんですね。

こういった場合はCMOSバッテリーを新しいものに交換する必要があります。
とは言っても、使用状況にもよりますが大体5年くらいはもつので、CMOSバッテリーが切れる前に他の部品が壊れるか、新しいパソコンに買い替えるかすることが多く電池切れに遭遇したことが無い方のほうが多いと思いますが、少し昔の頑丈な機種だと、特に不具合が起きることなく使い続けて10年目にしてついにCMOSバッテリーが切れた、といったことが起きます。
そんな時には電池交換が必要です。

CMOSバッテリーの交換

交換は簡単にできる?

まず最初はパソコンを分解できるかどうか。
デスクトップであればカパッと外装を外したらマザーボード上に電池が見えることがありますが、一体型やノートパソコンの分解は結構難しいので慎重になさってください。
無理に分解すると留めネジや他の部品を破損させる可能性もありますので、自分じゃ無理っぽいな、と感じたら、ご無理をなさらずに修理業者にご依頼いただいた方が安心かと思います。
例えば弊社であれば電池交換は2,200円~承っております。

分解は問題なくできる、となったら、次はご自分の機種で使われている電池を出して確認してみましょう。
CMOSバッテリーに使われる電池はCR2032という型のものが多いですが、機種によっては全く異なる場合もありますので、間違いなく同じ物を用意できるようにあらかじめ古いCMOSバッテリーを取り外して型を確認してください。
上の画像をご覧頂ければ分かるように、機種によっては複数の電池を使っていたり、全く違う仕様の電池だったりします。
CR2032 ならコンビニでもスーパーでもホームセンターでも電器屋さんでもどこでも売っています。
逆にCR2032でなければ、同じ電池を入手するところから難しい場合もあります。

また、電池ホルダーの形状が、ただホルダーの金具にはめ込まれている場合と、コネクタやケーブルが付いた機種独自の形状の場合があります。
独自仕様の場合は、コネクタを抜いて配線から外したり、両面テープを慎重に剥がしたりと慣れていない方には結構難しい作業になります。
また、この時に無理に剥がすと基板が壊れてしまったりもするので慎重に。

以下でご紹介する作業手順と写真は一般的なCMOSの形状の場合です。

交換に挑戦する場合

カバーを開けて電池部分を確認してみたら、電池は CR2032 だし、金具で留まってるだけだから簡単に交換できそう、という場合にはご自分でチャレンジしていただくと良いかと思います。用意するものは、マザーボードにはまっている電池と同じ型の電池と、分解作業のためのマイナスドライバー。
作業中に新旧の電池が混ざらないように、取り外した時点で古い電池にはマジックなどで 『 NG 』 や『 × 』と書いておきましょう。
交換後はBIOSメニューから現在の日時設定を行ってください。

まず安全に作業できるように電源コードを抜いてください
ノートパソコンの場合はバッテリーと電源コードを取り外します。
手の静電気で部品を破損させないように、ドアノブなどの金属を触ってから作業してください。
特に冬場は静電気が溜まりやすいので、心配な場合は薄手のゴム手袋をはめて作業しても良いかと思います。

デスクトップパソコンのCMOSバッテリー

デスクトップパソコンのマザーボード
外装をカパッと外し、マザーボード上のCMOSバッテリーホルダーのノッチ(ツメ)の部分を引いて
古いものを取り外し、新しいものを入れたらノッチを元通りに直すだけです。

ノートパソコンのCMOSバッテリー

ノートパソコンのマザーボード
こちらも電池ホルダーのツメ部分を引いて古いものを取り外し、新しいものを入れたら元通りに直すだけです。

CMOSクリア(BIOS設定の初期化)

自力でマザーボードの交換などを行い、BIOSデータを更新したら全く動かなくなった。
そんなBIOSデータの更新後に不具合が発生した場合にCMOSクリアを行うことで改善されることがあります。
※BIOSデータは下手に更新してしまうと、他の部品との兼ね合い等で全く動作しなくなってしまうこともありますので、確実に大丈夫だという確信が無い場合はBIOSデータを変更しないようにしてくださいね。

CMOSクリアの方法

デスクトップのマザーボード基板上にCMOSクリアのスイッチが付いていることがあります。
また、BTOパソコンであればCMOSクリアのスイッチが本体背面に付いていて赤く光っていることがあります。
割と押しやすい位置にあるので、第二の電源ボタンかな?と間違って押してしまう方もいらっしゃるので要注意なボタンですがCMOSクリアしたい時はそのボタンを押すだけなので簡単です。
また、CMOSクリアのボタンが無いデスクトップや、ノートパソコンの場合はCMOSバッテリーを抜いて一定時間経過後に入れ直すとCMOSクリア状態になります。

稀にAppleのパソコンではCMOSバッテリーを抜いて時間が経過してもCMOSがクリアされないことがあります。
その場合は別途特殊な作業が必要になりますので修理業者やメーカーにご相談ください。

車のキーのボタン電池

キーのリモコンスイッチを押すだけで、あるいは携帯しているだけでドアロックの開錠/施錠ができ、スタートボタンでエンジンがかかるタイプの車に乗っていらっしゃる方も多いと思います。
ちなみにそういった機能の名前はメーカーによって多少呼び方が異なるのですがおおよそ以下のとおり。

キーレスエントリー
 キーのリモコン操作でドアの開錠/施錠ができる
 (エンジンをかけるにはキーを差し込まなければならない)

キーレスプッシュスタート
 キーを携帯していればスタートボタンを押すだけでエンジンがかかる

スマートエントリー
 キーを携帯していればドア側のボタンで開錠/施錠ができる

これらの機能を備えたキーを 『 スマートキー 』 や 『 インテリジェントキー 』 と呼ぶこともありますね。
荷物が多くて大変なときや、お子さんを抱き上げているときに鞄の中からキーを探り当てずに済みますし、とても便利な機能ですよね。
そんな便利なリモコンキーですが、いざ電池切れで動作しなくなると「これってどうしたらいいの?車屋さん呼ぶしかないの?」と慌てる方も多いのではないでしょうか。

実はあのリモコンの中にもパソコンの情報保持に使われているCMOSバッテリーと同じようなボタン電池が入っているのです。
なので、いざキーが動作しなくなったら、というかその前にメーターパネルにオレンジ色の電池切れ表示が出始めたらご自分でボタン電池を買って入れ替えれば大丈夫です。
特に女性の方だとご自分でリモコンを分解して電池を替えたことが無い方も多いかと思いますが意外と簡単ですから、リモコンキーの電池交換方法の項をご参考に次回電池切れを起こした際にチャレンジしてみてください。
車屋さんに頼むと600円から1000円くらいかかっちゃうんですよね。自分で交換できれば電池代だけですみますし。といっても分解してから元に戻せなくなったら結局は車屋さんに頼むことになってしまうので慎重に作業してくださいね。

リモコンキーの電池が切れたらどうなるか

キーを押すだけでドアロックの開錠/施錠ができる、スタートボタンでエンジンがかかる。
とても便利な機能ですが、このキーのボタン電池が不意に切れてしまうと車が発進できない!と困ることになります。
そのことに初めて気づいた時の私の衝撃といったらありませんでした。

それは初めて自分の車を持ち、そして初めてキーの電池が切れた時のこと。
私のリモコンキーは、持ってさえいればドアのボタンを押して開錠/施錠でき、車内のスタートボタンを押せばエンジンが掛かるタイプでした。
電池マークがオレンジに点灯していたので、もうすぐキーの電池が切れるっぽいなあ、でも予備のキーがあるから次の点検の時に替えてもらえばいいや、と思って油断していたら予備の方もいつのまにか放電して切れていてどうにもこうにも。
とりあえずキー(物理)で鍵を回してドアを開けてみたものの、スタートボタンが反応しないし、こっからどうやって発進するんだろう…と悩んでいる間に警報音が鳴りだしました。
キーレス以外でドアを開けて20秒くらい経つと盗難防止のアラームが鳴るなんてこともあの時に初めて知りました。びっくりしました。

朝の閑静な住宅街に響き渡る結構な音量の警報音。
「すいませんすいません、でも泥棒じゃないんですうううう」 と、誰にともなく言い訳しながら焦る私。

「予備の電池なんてない、コンビニやスーパーも近くにない(田舎の住宅街だから!)このままではヤバイ、仕事に遅刻する!!(けどキーを差し込む所がどこにも無いなんてそんなバカな。しかもキーを差し込む所が無いなら、電池が切れただけで発進できないなんて造りのはずがない)」
(実際そんなことはなく、キーをスタートボタンの近くにかざしながら、なんだったらキーでスタートボタンを押せばかかるらしい、と私が知ったのはこれからしばらく後のことでした)

そう思ったのでとりあえず助手席の下のボックスに入っている車の説明書を読んだのですが焦っていたので雑な斜め読みをして見逃したのか、発進方法を見つけられず、仕方ないのでコーティングされた長くて丈夫な爪(当時ネイルに凝っていたので)でキーを分解してみました。
すると丸いボタン電池が。

お?これってパソコンの中にあるやつと同じじゃない?
パソコン開けて取り出すか、いやもう今からそれやってたら完全に遅刻だよ。
ていうか他にも家のどっかでコレっぽい電池を見たような…うーん、どこだっけ…

黙々と考えて、デジタルのキッチンはかりが同じ電池だった!!<●><●> ハッ と思い出し、キッチンはかりから取り出した電池を車のキーに入れ、無事に遅刻することなく出勤できました。やれやれです。
そして仕事の帰り道で電池を買い、それから今に至るまで予備の電池を切らしたことはありません。もうあの警報音でドキドキするのは嫌です…。

ちなみにこれ以来、お店の駐車場などで警報音を鳴らして焦っている方を見つけたら『同士よ…』と心の中でつぶやきながら、「キーでスタートボタンを押してエンジンをかけたら止まりますよ」とそっと近づいてプチ情報を伝えるというお節介をしています。

皆さんも連休や長期休暇で実家や旅先へ遠出する際には特にご注意ください。
近くにコンビニ、ガソリンスタンド、サービスエリアなどがあれば良いのですが、行けども行けども何も無いような場所を運転している時に電池切れマークが点灯したら結構焦ると思います。
電池ランプが点灯してからすぐにキーが効かなくなるわけではありませんが、安心して運転できるよう、あらかじめ予備の電池を車内にも準備しておいてくださいね。

リモコンキーの電池交換方法

以下でご説明するのは簡単に分解・組み立てが出来るタイプの場合です。
車の取扱説明書に電池交換方法が載っていると思いますので一度確認してみてください。
やっぱり壊しそうで怖い、という方は無理せず車屋さんにお願いしましょう。

窪みの部分があればその辺りからキーをカパッと開きます。
使うのはマイナスドライバーでも良いし、鍵の先を使っても良いし、最悪ツメが傷んでも良いのであればツメでもなんとかなります。

キー(物理)が合体しているタイプならまずキー(物理)を外す必要があります。
車のキー
物理キーを留めているツメがある場合はツマミを引いてからキーを引っ張って取り出します。
物理キーをはずす
出来た隙間にドライバーを差し込んでください。
※ドライバーが無かったらこんなものでもイケるんじゃないか、という一例として 私の愛用しているペーパーナイフ(日光江戸村産)でやってみたのですが、 ちょっとフチっこが削れてしまったので、やっぱりドライバーが一番ですね!
車キーの電池交換01
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端から少しずつグリグリとドライバーでひねって開けていきます。
あまり無理にドライバーを差し込むとキズがついてしまいますし、勢い良く開けると中のバネ部品が飛んで行ってしまうかもしれないので注意しつつ、加減しながらゆっくり開けてください。
車キーの電池交換02
   icon-arrow-down 
古いボタン電池を取り出し、新しいものと紛れて間違えないようにマジックなどで 『 NG 』 や『 × 』と書いておきましょう。
※古い電池を取り外す際も、マイナスドライバーで引っ掛けるようにして取り外します。
 その際に、電池の下の金具などを傷つけないようにご注意ください。
車キーの電池交換04
乾電池と同じようにプラスとマイナスがありますので間違えないように。基板部分にマイナスと書いてあればマイナスを下にしてください。
プラスとマイナス
   icon-arrow-down 
新しいボタン電池をツメの形に合わせてはめ込んでいきます。
車キーの電池交換05
お疲れ様でした!
後は物理キーをまた元通りに入れるだけ。
車キーの電池交換06
車のパネルに電池切れマークが出ていた場合も、新しい電池を入れたキーを持ってエンジンをかければマークが消えるはずです。

よく使われているコイン型リチウム電池 CR2032

キーによって使用されているボタン電池の型が違うことがありますので、購入する前にキーを分解して、今入っている電池の型番を確認してください。
数種類の型があると思うのですが、たぶん一番多い型はCR2032です。その他の型だとCR2012やCR2025あたりでしょうか。

メーカーは違っても商品名は同じ

ボタン電池は、Panasonic、Maxell、SONY、東芝、三菱などなど、どのメーカーでも同じ『CR2032』という製品として販売されています。
Panasonicコイン型リチウム電池CR2032
私はいつもPanasonicさんのCR2032を使っています。それはいつも行くスーパーで売っているのがPanasonicさんの電池だから。そしてLet’s noteという頑丈高性能なパソコンを作っているPanasonicさんの技術力を信じているからです。

といってもこれは個人的な好みなので、他にお好みのメーカーさんがあれば勿論そちらのCR2032電池を使っていただければOKです。
多少はメーカーによって電圧の安定性能に差があるかもしれませんが、日頃使っていて明確に感じられるほどの違いではないと思います。

ただし、100円均一で売られている電池だけはおすすめできません
百均の電池は保存管理状態が悪いものや、元の製品品質がかなり低いものがまぎれています。
そういった電池を使っていると電池寿命が異様に短かったり、機器が誤作動を起こしたり、更に極々稀なことだとは思いますが、最悪の場合は液漏れを起こして機器そのものを壊します。
そういったデメリットを考えると、200円程度の差ならちゃんとしたメーカーさんのを買ったほうがいいような気がします。
何個かまとめて売っているパッケージのものならメーカー品でも割安ですし。ご家族で暮らしているなら車のキー、キッチン用品、時計、などなど使用する機会も多いので5個入り程度なら劣化してしまう前に使い切ることができると思います。

磁気と車のキーの寿命の関係

本来、スマートキー(インテリジェントキー)に使われている電池の寿命は2年程度なのだそうです。
ところが、磁気(電磁波)を発するものをキーの近くに置いていると、スマートキーが発している動作磁気に干渉してしまい、キーの動作が鈍くなったり、電池の消耗が通常よりも早くなってしまうのだとか。
電磁波を発するもの、そして今や当たり前に身近にあるもの、それは携帯電話、スマホ、パソコン
私などは仕事柄パソコンから離れることが無いレベルなのでどうしようもありません。
むしろ修理後の動作確認のため多い時には5台くらいのパソコンに囲まれていたりします。
更にキーを入れているバッグの中にスマホも入れてるし。
特に最近は半年くらいですぐに電池が切れるのでおかしいなあと思っていたのですが、どうも今のスマホに機種変更してから異様にキーの電池切れが早くなったような?
前のスマホよりも発している磁気が多いのでしょうか。
磁気を帯びたものから少なくとも1mは離しておいたほうが、とメーカーサイトに書いてあったので、バッグに入れている時は仕方ないにしても、普段のキーの置き場所などに注意してみようと思います。

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