前回はお暇な学生さん、私のおすすめ記事でも見て下さい、ということで新型肺炎の影響で休校になってしまって時間を持て余した学生さんの暇つぶしに、あるいはちょっとした勉強になりそうな内容をご紹介しました。
今回は、皆さんの使っているスマホやPCなどのネット環境から下手をすれば学校やおおよその住所が特定される可能性についてご説明します。
これまで皆さんもTwitterなどのSNSで、犯罪自慢やデマ拡散で炎上した上に身元がバレて追い詰められる人を散々見てきたと思いますが、なぜか多くの人は『 自分には関係のないこと 』として、すぐにそれを忘れてしまいます。
ネットは使い方を間違えると大変なことになるということ、そしてIPアドレスが個人を特定される一因になる場合もあること、それを頭に置いていただいて、ネットに上げる内容にはよく注意を払ってくださいね。
IPアドレスとは
IPアドレスには主にローカルIPアドレス(プライベートIPアドレス)とグローバルIPアドレス二つの種類があります。
一般的に『IPアドレス』と言う時はグローバルIPアドレスであることがほとんど。
IPアドレス( Internet Protocol Address )とはパソコンやネットワーク機器などの一つ一つに割り振られた識別番号で、広大なネットワークの中であなた(が使っている機器)がどこに存在しているかを示す住所のようなものです。
IPアドレスは
123.123.111.222
このような3ケタ×4区切りの数字とピリオドで表されます。
数字部分は0~255の範囲なので
1.0.10.255
といった感じになることもありますね。
IPアドレスが存在しなければ、ネットのデータを受信することも発信することもできません。
住所が無ければ郵便が届かないのと似たようなものです。自分が契約上割り振られたIPアドレスを取得しているからこそインターネット上であれこれ見たり、メールを送ったりといったことができます。
IPアドレスはプロバイダ側の設定変更によって変わることがあったり、接続機器やルーターの電源を入れ直して接続する毎に変わってしまうことがあり、そうして変動するIPは『動的IPアドレス』と呼ばれることもあります。
反対にプロバイダとの契約によっては常に決まったIPアドレスを割り当てることもでき、これは『固定IPアドレス』と呼ばれます。
IPアドレスから分かる情報
IPアドレスから個人の氏名が相手に知られる事はまずありません。
例外は警察や裁判所が正規の手続きを踏んでプロバイダに開示請求をして、あなたやご家族が契約しているプロバイダが個人情報を公開した場合など。
もしくは自分がサーバーを建ててサーバー所有者を個人名で登録・公開している場合です。
世の中に溢れる架空請求サイトの中には、サイトにアクセスした瞬間、あるいはダウンロードボタンをクリックした瞬間に
「あなたのIPアドレスを記録しました。あなたのIPアドレス、利用しているプロバイダ、お住まいの地域はここでしょう。私はあなたを特定しているんですよ。だからサイトの利用料金を支払ってくださいね」
という脅しを表示してくるものがあります。
「住んでいる地域まで知られているなら、きっとスマホの所有者である自分の名前なんかもバレてるんだ…どうしよう…」
といった風に恐怖心や不安感を煽ってお金を騙し取ろうとしているだけですから、決して請求に応じたりしないようにご注意ください。
どうしてもご心配なら、契約しているプロバイダのサポートセンターや、最寄の警察署のサイバー犯罪相談窓口に相談してみましょう。
都道府県警察本部のサイバー犯罪相談窓口一覧
あなたのIPアドレスは、Yahoo!にもGoogleにもBingにも、今見ていただいている弊社サイトでも、繋げているWi-Fiスポットでも普段使っているメールアプリでも、遊んでいるソシャゲでも記録されています。
(その記録はそれぞれのサーバー側に自動保存されているため運営者以外が見ることは出来ません)
いわば歩いた後に足跡が残っているようなものです。
犯罪などの悪さをしない限り、記録されたIPアドレスの履歴はあなたにとって不利益にはならないので気にしなくて大丈夫です。
WEBサイトで悪質な書き込みをした人などがアクセス禁止になる、いわゆる垢バンは大体このIPアドレスでブロックされますね。
逆にIPアドレスの履歴がメリットになることもあります。
例えばソシャゲならスマホが壊れてデータが消え、IDも分からなくなっても運営さんに『アカウント名は●●です~復活させて~』とお願いしたらそのお願いメールのIPアドレスとプレイ履歴のIPアドレスの一致により本人であるとして、過去データからアカウントを復活させてくれることが昔はありました。
(さすがに最近は情報保護の観点からもっと厳しくなってるかもしれません)
IPアドレスについて気をつけたい点
限定された地域や企業に取得されているIPアドレスが個人を特定する一因になることもあります。
例えば
・匿名掲示板に書き込んだこのIPアドレスは【●●株式会社】が取得しているネットワーク範囲に存在している
・掲示板に書き込んでいた内容からすると会社の営業部に居る20歳代の男性社員である
・その会社のホームページに営業部の顔写真や名前が掲載されており、20代の男性社員は1名のみである
という風に辿っていくと、簡単に個人を特定することが可能です。
同じように、例えば高校のネットワークからアクセスした書き込みの場合
・●●町のネット掲示板に書き込みがあり、書き込み内容から高校生もしくは高校教員と推測できる
・書き込みを行ったIPアドレスは【△△教育委員会】のネットワーク範囲で、アクセス機器がMac PC
・【△△教育委員会】に所属する●●町の高校は1校のみ
・学生が自由に使用できるPCは図書室と実習室のWindows PCのみ
・教員は個人のPCを持ち込んでいる場合があり、Mac PCを使っていることがある
・普段書き込みが多い時間は平日の11時頃と14時頃
という条件が揃うと、
『授業時間中にMac PCから連続して書き込みがあることからあの高校の教員である』
という所までは簡単に辿れてしまいます。
そしてこれが学生さんの場合。
大学生だと、大学は基本的にその大学独自のネットワーク範囲を取得しているので、学内のネットワークを使った書き込みであればどこの大学かくらいは一発でIPアドレスから分かってしまいますね。
ただ、大学が知られた所で、学生、教授、事務員などの人数も多いし、そう簡単に個人の特定までは至らないので安心といえば安心。
逆に中高生だと限定されたネットワーク範囲を使うことはほぼ無いのでより安心かといえばそうではなく、中高生の場合はIPアドレス以外の情報がネット上にダダ漏れなので個人を特定されやすいと思います。
Twitterで「●●県、今揺れた?地震?」「今日は開校記念日で休み~」とか呟いていると、IPアドレス関係なく『●●県 開校記念日』を検索するだけでどこの学校かバレます。
最近だと、インスタの写真で最寄りのコンビニが判り、制服から中学も判り、学生鞄につけたキーホルダーから個人特定もできそうな自撮りを上げている学生さんを見ました。顔を隠していても他の情報が豊富で特定可能な状態ですね。
個人情報の取り扱いには本当に本当に気をつけて。
それでは以下でIPアドレスから個人特定される流れの一例をご紹介します。
・IPアドレスから『東京都多摩市』に限定されたローカルなネットワーク範囲
・掲示板に書き込んだ内容などで検索をかけて一致するTwitterアカウントを見つける
・ある程度絞り込めたら犯人(仮)が現地に行って、
少しずつ内容が違う張り紙を日時をズラして電柱などに貼る
・本人がTwitterで『変な張り紙を見かけた』と写真を上げる
・その張り紙の内容から、より地域を狭めて絞り込み
・Twitter、Instagram、TikTokなどに本人の顔が出てればもっと簡単
あんまり詳細を書いて逆に犯罪に利用されるのも困るので適当に説明するとこんな感じですね。
「そうまでして私を特定する暇な人なんて居ないでしょー」と思うかもしれませんが、信じられないようなことに労力を割くのがストーカーなどの犯罪者です。
(あとたまに探偵さんなどもこういう作業をしてるらしいです)
私は昔バイト先の常連さんがストーカーになって、バイトから帰る度にその人がアパートの前に立っている…でも何をするでも言うでもなくただこちらを見ている…という恐怖体験をしたのですが、警察に行っても「殴られるか刺されるか、明確な被害を受けてから来て」と言われて追い返され(当時の警察のゆるふわ感たるや…)その後バイト辞めてアパートも引っ越しました。
幸いにも殴られることも刺されることも無く縁を切ることができましたが、引っ越し代はかかるし、新しいバイト探す羽目になるしで大変でした。
これが実家住まいの方だと、そう簡単に引っ越すわけにもいきませんよね。
自分と家族の身は自分で守る!という意識を持って、ネットに上げる内容にはくれぐれもご注意ください。