触ると熱い、噴き出す風も熱い
梅雨時や夏場にパソコンを使っている時。
パソコン本体が異常に熱を持っていたり、ファンがやたら頑張って回転していて噴き出す風も熱かったり、不安になるような音を部品が立て始めたりすることがあります。
怪しい音がする状態についてはこちら⇒パソコンから変な音がする、そんな時はをご覧いただくとして、今回は動作熱が起こす不具合についてご説明いたします。
高温によって生じる不具合
パソコンは精密機器ですので、どうしても暑さ寒さや湿気に弱いものです。
特に気温が高い場所で使用していると、元々の動作熱と相まって内部はかなりの高温になります。
熱が上がりすぎた状態になると、エラーの頻発、電源切れ、再起動できないといった問題が発生します。
それでも過酷な環境で使い続けると最終的には故障してしまいます。
動作エラーが起きる
インターネット閲覧やDVDの再生などの動作が異常に遅い、
ブルースクリーンエラーが出る、
フリーズして動かなくなった、etc。
こういった不具合が発生するのは、熱によって部品の動作が不安定になっているため、もしくは限界が近い部品がギリギリで動いているためです。
こんな時には一旦電源を切って涼しい場所でパソコンを休ませてあげて、触っても熱を感じない程度まで完全に冷ましてから再度電源を入れましょう。
それでも動作が怪しい場合には部品の寿命が迫っている可能性があります。動く内に大切なデータのバックアップを取っておくと安心です。
電源が切れる
パソコンが熱くなると勝手に電源が切れるのは、故障を防ぐ自己防衛としてパソコンの内部基板(マザーボード)がある程度の高温を察知すると強制的にパソコンの電源を切る機能を持っているためです。
「やばい、もうムリ、暑くて脳(CPU)がショートしそう…一旦なにもかも放り出して休もう」という状態です。
こんな時も、電源を切ったまま涼しい場所でパソコンを休ませてあげてください。
すぐに再起動させると、熱中症の人間を無理やり走らせるようなものですから、部品が完全に破損して二度と起動しない状態になる可能性があります。
『熱暴走』について
『熱暴走』。なんだかものすごい勢いを感じる言葉。
本来の意味は動作熱が上がる→高温になる→流れる電流が増えて熱が生まれる→更に動作熱が上がる→もっと高温になる→もっともっと電流が増える→動作熱が上がる……というように、プラス方向の影響が積み重なって暴走、つまり熱の制御が出来なくなった状態を指します。
コンピュータの世界では主に部品が高熱により破損してしまった状態や、不具合が発生した状態をこう呼びますね。
上でご説明したとおり、熱で電源が落ちるのはマザーボードが備えた防衛機能です。
壊れるどころかちゃんと自分の仕事をしてくれていますから『 熱暴走 』とは言えません。
これが「あ、自分まだまだ走れるっす。脳も全然いけるって言ってるんで」とか言い出して電源が切れたり入らなかったり、すぐに固まってしまったりと不調ながらも動き続けた挙句に壊れて動かなくなれば『 熱暴走 』です。
なのですが、この単語ひとつで「熱で大変なことになってしまったらしい」と相手に伝わるため、使い勝手が良いというか、なんとなく格好が付くというかで「なんかパソコンが熱いと思ってたらいきなり電源が切れちゃった」という相談に対して、パソコンに詳しい方や修理業者さんがこの単語を使うことがあります。
私もお客様に状況をお伝えする際に
「経年劣化によりファンの回転が弱まり、ホコリが溜まってたことも相まって高熱が発生してCPUへの熱負荷が限界を超えたためマザーボードが強制的に電源を落としています」
「えーと…良くわかりません」
「ざっくり言えば暑さで部品が熱暴走している、的な…」
「なるほど!」
というような会話をしたことがあります。
たぶんこんな感じで『 熱暴走 』という言葉が広まったのではないかと。
お客様に分かりやすくきちんと伝わることのほうが大切だとも思うので、本来の意味とは違っていようとも、まあこれはこれでいいのかなと思っています。
暑さへの対策
やむを得ず高温環境で使用される方はノートPC用のクーラーパッドなどをご活用ください。
クーラーパッドや冷却台を選ぶ時は、ご自分のパソコンのどの部分が熱を持っているか、その位置を冷やせるかなどに注意して選んでください。
お家で使う場合は100円均一やホームセンターで売っている『 すのこ 』にパソコンを載せて風通しを良くして使うのもアリですね。
ただこの時「冷やせばいいんだよね?」ということで凍らせた保冷剤などをすのこの中に放り込んだり、パソコンの下に敷いたりしないようにご注意ください。
逆に冷え過ぎてパソコンの内部が結露すると濡れた部品がショートすることも。
もし急いで冷やしたい場合は、一番熱くなっているあたり(そこにパソコンの脳=CPUがいます)によく絞った濡れタオルを当てるくらいにしておいてください。
また、ノートでもデスクトップでも、熱を逃がしている通風孔を塞がないようにしてください。
特に内部にホコリが溜まるとファンの回転を妨げ、通気を悪くしますので出来るだけパソコン周りは綺麗な状態でお使いください。
ホコリや煙草のヤニから守るために使っていないときはカバーを掛ける、使い終わったらささっとキーボードや画面を拭いて内部にホコリが落ちないようにする、など少し気をつけていただくだけで防げる故障もあります。
たまに壁際にピッタリ寄せていたり、ベッドやカーペットの上で使っている方がいらっしゃいますが、そういった環境でお使いだとパソコンの部品寿命をガンガン減らしていきますのでご注意を!
薄型機種は特にご注意!
最近増えてきたウルトラブックなどの薄型のノートPC。
持ち運びに便利で使い勝手も良いのですが、薄さ・軽さを重視しているぶん頑丈さや排熱効率は通常のノートPCに比べて劣ります。
部品が中にみっしりと詰まっているので空気の通り道になる空間が無いんですね。
新しい機種ですからまだ部品の流通が少なく、開いて内部を分解するのも困難です。
そのためいざ修理となると通常のパソコンよりも修理費用が高額になりがちです。
最悪の場合はメーカーさんしか部品を持っていないためにとんでもない金額のメーカー修理を頼むしかなくなることも。
ウルトラブックをお使いの方は、くれぐれもうっかり踏んだり、暑すぎる場所で使ったりなさらないようにご注意ください。
ホコリのせいでファンが回らない?
ある程度の温度の風が内部から出ているようでしたら問題はありません。
今くらいの季節から秋にかけては気温が高くなるためにパソコンの動作熱も上がり、ちょっと熱いな、と思うくらいの風が出て当然です。
しかしこれがファンの音が気になるくらいに五月蝿く、かなりの熱風が出てくる場合やファンがすぐに止まる、そもそも回ってない?というような場合にはファンが壊れてしまったか、内部にホコリが溜まってファンの回転を妨げている可能性があります。
見るからにホコリが溜まっているようならパソコンの内部清掃をご検討いただいた方が良いかもしれません。
知識や経験があればご自身で清掃していただくことも可能ですが、慣れていないと、部品を誤って失くしてしまったり、静電気を帯びた手で触れて壊してしまったり、尖った部品で怪我をしてしまったりといったこともありますので、内部清掃に挑戦される際には充分にお気をつけください。
弊社でもCPUファン清掃を含む内部簡易清掃を承っております。
また、汚れが酷い場合には洗浄を含めた清掃や、壊れてしまったファンの交換修理も行っております。
自分で挑戦するのは不安、という方は是非ご利用ください。
休ませても不具合が出る…故障?
しばらく使用を控えてもやっぱり本体が熱い、不具合が発生するというような場合はCPU、マザーボード、HDDなどの部品が熱暴走、接触不良、ショートなどを起こしている可能性があります。
熱による破損で発生する症状は主に
・電源が入らない
・画面に何も表示されない
・画面に線が出たり、正常な色彩で表示されない
・シャットダウンと再起動を繰り返す
・ビープ音(ピーピーというエラー音)が鳴って起動できない
・青い画面に白い文字、もしくは黒い画面に白い文字でエラーメッセージが出る
などがあります。
こういった症状の場合、故障した箇所や破損度合いにもよりますが10,000~25,000円程度の修理費用となることが多いですね。
お問合せや概算お見積りは無料ですので、お困りの事がございましたらお気軽にお問合せください。
まだ真夏でもないし・・・と節電のため冷房機具の使用を抑えておられる方もいらっしゃるかと思いますが、ご自身が熱中症になってはいけませんし、パソコンを長持ちさせるためにも、ほどほどにクーラーや扇風機をご使用くださいね。